2016年12月28日水曜日

白い顔

湖畔の洋館。地下の実験室。父親を狂わせていたのは全てこの定番の呪われた場、こそ、だった。母は娘を置いて逃げたのではないだろう。きっと母親は、自殺したか何かで、この邸その物と言える存在になり、亡骸は湖に沈められた。アッシャー家の崩壊を思わせて凄絶。だから、そこから何もかもが狂った。洋館の炎上は罪の浄化を具現し、その特撮は悲しく美しい。ラストの残されし者同志の父娘の抱擁は泣ける。sriの窓から見えるビル街は都会の儚さを具現して、そのミニチュアは矢張、美しい。逆にレーザー光線の光学特撮は見せない。そこが本作にリアルな重量級犯罪感を与え素晴らしい。見せる所と暗示する所が絶妙だ。醜さがテーマゆえか、この上も無く美しい作品だ。亡き母の亡霊が演奏しててもおかしくないピアノ。それをテープレコードのトリックと重ねる。この怪奇大作戦前期特有の人体破壊ホラーと乱歩趣味の絶妙ブレンドは本当に捨てがたい。

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