2016年8月23日火曜日

宇宙指令M774

一条貴世美、ゼミ、セミ、セミ人間。変な連想は置いといて、本作は演出が破綻しているのではなく脚本が非常に、観念小説、思想小説、ディスカッション劇、ポリティカルフィクション、的だからだと思う。救援の戦闘機が来たということは事態は国家レベル以上の世論を招来してしまっているという証拠であるし、ラストシーンの不思議な光景は、舞台が異星であるところの、それが、一種の宇宙防衛サミットの模様を描きだしたもの、だからなのではないだろうか。視聴者に語りかけるカットが戦慄的ですらあるのは、だからこそ、なのだ。

2016年8月18日木曜日

あけてくれ!

これは、ヤバい。一平の存在し得ないパラレル・ワールドに、淳と由利子は、車ごと迷い込んでしまったに違いない。それも、自身の居る世界を、よりユートピアへと見せ掛ける為に、友野が、意図的に造り上げたディストピア・ニセ東京へと。二人は、確かに、迷い込んでしまったのだ。そうとしか思えない。オープニング。現実の世界に置き去りにされた一平が、二人の去った先に見る、あのタイトル・バック。そこに映し出された東京の夜景は、高速道路だらけで、その上を電車が飛び回っているし、遠景のビルも何やら炎上か、発光しているようで、正に、ディストピア。ごく選ばれた者しか電車には乗れない、そんな地上に電車が無くなってしまいつつある、そんな世界。一ノ谷も、嘗ての一ノ谷とは、どこか違う。何よりも、研究所の中の覗き窓のある座敷牢に、被害者の女性を残酷にも、閉じ込めてしまったりしているではないか。あの穏健な一ノ谷と、同一人物とは、どうしても思えない、非情な所業である。そして、この東京が、ディストピアたる最大の証拠として、二人の乗ったエンストした車から流れるカー・ラジオ。音楽など一切流れず、まるで、戒厳令下かと思わせる程。難民の車の交通渋滞情報ばかりなのである。このディストピア・ニセ東京からは、最早、誰も出て行くことが出来ないのだ。さて、二人は、車を後にして、淳の事務所に行くが、そこには、一平らしき人影は、あるには、あるのだが、二人からも、一平からも、互いが、まるで見えていないかの如き、不気味な演出が施されている。正にパラレルワールド。只、救いなのは、今まで、一平は、影も形も無くなってしまっていたのだが、こうして、今は、両世界が繋がりかけ始めている。そんな風にとれるからだ。二人は、この後、また一平の認識できる世界に戻れるであろう。めでたしめでたし。しかし、いずれにしても友野という奴は、時空を自由に操れる、とんでもない奴だということ。友野の顔の入った著書だか書類だかは、街中、至るところに神出鬼没で、そして、あれは、どう見ても、黒いタブレット端末に見えてしまう。1984年のビッグ・ブラザーのテレ・スクリーンめいて。

2016年8月15日月曜日

助っ人無用

サイレンサーとオチが最高。老殺屋にサイレンサーといえばブランドの凄味にデニーロのかっこよさ。ゴッドファーザーpart1part2。

2016年8月14日日曜日

ウルフガイ燃えろ狼男

映画そのなかでもB級のよさは、特撮とくにヒーローもの、アクションものに、にじみでてる。昔は、つっこみネタとして笑いものにしていたような低予算かつ杜撰なシーンやカットが今では実にあじわいぶかいものとして感じられるようになってきた自分がいる。例えばヒーローの変身シーン。同じものの使い回しなので、変身時その瞬間の服装だけがいつも同じだったり、昼間の変身なのに、いきなり背景が夕陽になったり。実にあじわいぶかい。服装に関しては、なんかすごい物理法則たとえば空中元素固定装置とかで強制的に素粒子レベルで一瞬そうなるものだと思いこんでしまえばつっこむよりもこっちのほうが断然、楽しい。夕陽も、時空に歪みが生じてそうなるとかね。そして、敵とのバトルアクションがはじまった。とたん街中だった景色がいきなり荒野の造成地に切り替わる。これも街中が一歩、裏通りに入ってしまえば、そうなっていると思いこんでしまえばこれまたこっちのほうが楽しい。事実、復興時の都市としては充分あり得ることだし復興の原因となった災害や戦争その規模が大きければ大きいほど、そうなるはず。そういう終末世界、ディストピアな舞台設定、時代設定へと自らバイアスをかけて思いこませることで、とことんまで、SF的スケールの大きさな世界へと、まるごと身を浴する。

2016年8月13日土曜日

問答無用

仕置きのシーンは凝った照明と丁寧な美術という人工空間な点がウルトラマンの3分間に匹敵するカタルシス。もはや特撮作品と言って良い。また本作では松の竹鉄砲が防衛隊の火器攻撃の特撮を思わせ鉄すなわちウルトラマンの肉弾戦をMATの如く強く補填している所は旧から新へのリアル化の流れも感じられ正に帰ってきたウルトラマン。更に共に1話2話での大監督の起用。とどめは岸田森その怪獣的演技と不条理な存在感。嬉しすぎる新必殺仕置人。