2016年10月24日月曜日

大魔神

三部作の中でも本作は第一作目と言う事も関係しているのか初期衝動が迸り過ぎてて初見の印象が吹っ飛ぶ程の辛口。額の楔からは血を垂らすし初登場の晴れ舞台ながら額に楔を突き立てたまま迫り来るし。挙げ句に楔を引き抜き串刺すし。痛快と言えば痛快だが今見ても一寸引く。いや大人になって色々人生の厳しさを知った今見たから余計引いたのかも。

2016年10月23日日曜日

忠治を売った女

岸田森と二宮さよ子の浮雲ばりの腐れ縁ぶりが股旅物と言うより敗戦直後の実録暴力団物って位のリアリティー。名和宏は村岡組長だし。見事な大人の為のヤクザ映画で疲れた中年の筆者は身に詰まされ落ち込むが勝新の寅さん演技と大魔神の特撮の人の演出のお陰で辛うじて癒され今日も筆を執る。秀作。

2016年10月22日土曜日

冬の海

忘れられた入江の、打ち捨てられた、漁師小屋。まるで、打ち上げられた、死骸、死を待つ、怪獣の姿のようだ。その節穴も、美しくも、悲しい、神話な三人の物語を、見詰める目に、相応しい。少女の描く、裸の、座頭市の画は、剣を掲げる、仁王像、不動明王像みたい、だった。

2016年10月19日水曜日

新・座頭市

ここ数日は座頭市テレビシリーズ各話と惑星ソラリス吹き替え版を見つけて観ている。例の某動画サイト。違法アップロードされた物だろうからリンクもシェアも出来ない。また出来るけどダウンロードしてオフラインの視聴の便も取らない。明日になれば突然の削除も有り得る。只こうした出会い頭感と一夜限り感。地方名画座オールナイト育ちの日用映画劇場カンリニンの筆者としては大切にしたいし切なくて嬉しい物。

2016年10月15日土曜日

暗黒街の対決

古臭さの無い今風、いや、それを越えて近未来のブレードランナー風味さえ感じられる。三船の時代劇演技が、幸を奏し、どこか人工的、ターミネーターのシュワちゃん、みたい、で、最高だ。鶴田もハリソンフォードな、かっこよさ。特撮テイストな、天本氏、平田氏、田崎氏、その他、お馴染みの面々、お陰で、荒神市は、さながら、星人に秘密裏に支配されてしまった、あの、セブンの狙われた街のようだ。まさに、痛快と言うに、相応しい。

2016年10月10日月曜日

暗黒街の対決

グレーゾーンを幻のようにアップされては消えてゆくユーチューブの無料映画。それは熱を出して学校を休んだ日のローカルテレビ映画劇場のうしろめたくも出会い頭な淫靡な楽しみに似ている。荒神市いい名だ。いわゆる暗黒街もののチェックポイントは舞台の街と脇役の殺し屋と決めている。新東宝のラインシリーズしかり黒澤の用心棒や酔いどれ天使だって脇役の殺し屋と荒廃した街こそが魅力なのだ。とにかく自分はSF寄りよりミステリー寄りでの平田昭彦が大好きだから。観る。

2016年10月9日日曜日

吸血地獄

手持ちカメラとロングショットの多用でドキュメンタリータッチの前半は連続殺人犯の青年を追い詰めて行く刑事ドラマ。後半は異様な閉塞感に満ちたホテル内での青春ドタバタ劇でロマンポルノのサイドストーリー。プラスその他の要素が崩壊寸前の絶妙のバランスで辛うじて同居している様は本来のゴシックを逸脱してバロックにさえ接近した吸血鬼pv。そう映画でもドラマでもない。ガラダマがインダストリアルpvなように。音の力。

2016年10月8日土曜日

座頭市血笑旅

赤ん坊の父親を切った後の苦い余韻。寺の石段を悉く生気を失いヨロヨロと降りて行く様。旧知の座頭集団にも背を向け子守唄を一頻り呟いてオモチャを懐に仕舞い歩き出す。まるでお守りでも仕舞うように。その行く手の空には何やら禍々しい煙が棚引いている。とにかく凄まじいラストシーン。

2016年10月6日木曜日

『戦え!マイティジャック』「マイティ号を取り返せ!!」

マイティ号は、やはりどこかウルトラマンに似ている。その巨大感と崇高感が、すべてなのだ。結局それが限界でもあり魅力でもあることが本作を観ると良く分かる。ダンがゲスト出演することでウルトラセブン世界が陰画的に反映され以下が浮き彫りになっている。それは、いかにマイティジャックが、ウルトラセブン的なガジェットに頼ったサンダーバード的007的な作品ではなく、どこまでも守り神的ヒーロー的なカタルシスで転結する、どこまでも王道なウルトラマン的大魔神的作品であるということ。まるでダンがセブンが旧ウルトラマン倒れし時、駆け付けたゾフィのように見える。つまりそれが無印マイティジャックにおける、どこまでも交わらないスパイアクションとマイティ号の存在感、あの感じの原因だったということ。しかし戦え付きになってからの、本作と最終話の前後編二部作は、そのことを開き直っている御陰か、どこかおさまりが良い。結局マイティ号は巨大なだけのデクノボーで良いのだ。デクノボーは落ちぶれた時にこそ、その魅力を発する。帰ってきたウルトラマンがそうだ。ローマ大史劇が落ちぶれての魅力から、マカロニウエスタンやゾンビが生まれたように。だからこそ、筆者わたしは、戦え付きのマイティジャックの中の少なくないホラー編その屈指の最高傑作として本作を推す。そうマイティ号による悪夢のような東京大空襲シーンそれはホラー以外の何物でもないのだから。セブンが東京を襲っても怖くなかったでしょ。旧ウルトラマンは怖かったでしょ。新マンは多分怖過ぎて見ていられない。

2016年10月5日水曜日

『戦え!マイティジャック』「希望の空へとんで行け!」

本作には個人的に、帰ってきたウルトラマンの、それ同様のテイストと重みを感じた。殉職隊員の残した最期の言葉は、マイティ号を見上げての、でっかいなぁだった。先日、本ブログで感動と評した彼の父親とのエピソード、炎の海を乗り越えろ、を発端とした個人的には非常に切なくも、どこか救いを持った最終話だ。確かに表面的には特撮やアニメは、衰退するどころか世界的に隆盛さえしているように見える。しかし本作や、帰ってきたウルトラマン最終話のような戦争を知る世代の手によるパイオニア作品にしか出せない濃い絶望と微かな希望の陰影を、どれほどの作品数が有し得ているだろうか。まさに私からすれば彼らパイオニアこそ、でっかいなぁである。表面的には、どんなに粗製っぽく見える作りでも観れば観るほど見上げるような大偉業なのだ。本作、金城氏の、マイティジャックで、ウルトラマンを越えようとし結局ウルトラマンにしか行き着けなかった、その敗北宣言も感じ取れる。でも、それで良かったんだと、その後、一氏が、上原氏が、帰ってきたウルトラマンの最終話で優しく金城氏に語りかけているようにも思う。まるで小川隊員の父が息子の英霊にでも語りかけるように。すばらしい戦いは、敗北さえもすばらしいのだ。

2016年10月3日月曜日

『戦え!マイティジャック』「炎の海を乗り越えろ!」

まず何の説明も無く登場する巨大ダコ。白鯨やクトゥルーの邪神を思わせる。クトゥルーと言えば本シリーズの他のエピソードでだが古代の神殿を抱く島が浮上し船が沈没、生き残りの船員達が島で閉鎖空間サバイバル群像劇を繰り広げるってのもあった。巨大メカ対巨大メカという構図も良いけれど怪獣怪物を出すのなら宇宙人よりマイティジャックには銀河系それを軽く越える大暗黒大宇宙大神話なクトゥルー設定の方が非常に良く似合うんじゃないかと思う。そして怪物を退治するのも白鯨や本作のように、正義とか平和とかのヒューマニズムな近代主義を越えた前近代的な怨念や執念と言った物。そうなのだグローバリズムなどと言うポストモダンなモノノケじみた化け物を倒すには前近代的な何かこそが必要なのだ。それも市井の庶民の。船長役のメイツ星人さんが実に良い。腹を殴ると言う子供の戯れじみた小技が脚本上とても上手く活かされている。ラストシーンのオンボロ漁船が実に雄々しく格好良い。これこそがマイティジャックの精神神髄なのだ。感動した。

2016年10月2日日曜日

『戦え!マイティジャック』「悪魔の海にとんで行け!!」

子供向けになったとはいえ、何気にアダルトな洒落っ気が、そこはかと散りばめられている。まずopだが、長いイントロをうまく使いメンバー紹介と副題が。歌が始まると旧mjと同じ発進シーンの流用だが。おっと、その前に。タイトルがmjの文字が割れて現れるが、これは、まさにウルトラマンのq割れ、そのものである。サブタイトル表示が、また洒落ていて通信タイプの映像のタイミングで、その上にかぶせられる。粋だ。ガラダマのopに匹敵するかっこよさ。女子隊員の紹介なのに、しっとりどころか爆発、これもいい。ぜひ科捜研の女でも採り入れて欲しいカット。さて本エピソードだが、いわゆる海洋奇談もの。前半は、とにかく、おどろおどろしい。フィルム反転映像の挿入と、その鬼気迫る演技。結局、敵が全く姿を見せないところなどは、侵略する死者たちと同様で個人的に、とても好きなテイスト。音楽催眠が、敵の主たる武器で、ラストで音楽音痴の源田隊員が、見事に、洗脳されたことを、からかわれているが、それより、なにより、天田隊長が嬉々として催眠にかかりたがっているところこそ突っ込んでほしい。笑。何故って、隊長役の南廣は、前職が、バリバリのジャズドラマーで、ミュージシャンなのだ。そりゃ全員の中で最も催眠にかかりやすいだろう。だからか、どうか、知らないが、ここぞとばかり、一肌脱ごうとする、その様、責任ある立場にも関わらず。笑。怪談ものを、こうしたユーモアで締め括るのも大人のドラマと感心。

2016年10月1日土曜日

隣の女

タイトルの隣の女とは全身黒衣、マスクにサングラスの長身痩躯の女の姿をした、人造人間のことだった。ドアチェーンを切ったのは義手がペンチにもなるのかと思ったが違った。マッドサイエンティストの老女の方だった。それにしても四六時中道具箱を手放さないなんて狂気の沙汰だ。電機ドリルを取り出し襲ってきたが、あの後主人公の女の子も人造人間にされてしまったのか。しかし人造人間は人造人間でも正体不明で、金属だけでなくベニア板みたいな有り合わせの物も使われて造られているっぽいし、買い物くらいの用事こそ出来るみたいだが時にドアも開けられなくなる出来損ない、なのが余計怖い。サウンドトラックもトランスでインダストリアルでと異常にマニアック。