2016年10月5日水曜日

『戦え!マイティジャック』「希望の空へとんで行け!」

本作には個人的に、帰ってきたウルトラマンの、それ同様のテイストと重みを感じた。殉職隊員の残した最期の言葉は、マイティ号を見上げての、でっかいなぁだった。先日、本ブログで感動と評した彼の父親とのエピソード、炎の海を乗り越えろ、を発端とした個人的には非常に切なくも、どこか救いを持った最終話だ。確かに表面的には特撮やアニメは、衰退するどころか世界的に隆盛さえしているように見える。しかし本作や、帰ってきたウルトラマン最終話のような戦争を知る世代の手によるパイオニア作品にしか出せない濃い絶望と微かな希望の陰影を、どれほどの作品数が有し得ているだろうか。まさに私からすれば彼らパイオニアこそ、でっかいなぁである。表面的には、どんなに粗製っぽく見える作りでも観れば観るほど見上げるような大偉業なのだ。本作、金城氏の、マイティジャックで、ウルトラマンを越えようとし結局ウルトラマンにしか行き着けなかった、その敗北宣言も感じ取れる。でも、それで良かったんだと、その後、一氏が、上原氏が、帰ってきたウルトラマンの最終話で優しく金城氏に語りかけているようにも思う。まるで小川隊員の父が息子の英霊にでも語りかけるように。すばらしい戦いは、敗北さえもすばらしいのだ。

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