2023年11月25日土曜日

あばよダチ公(1974)

製作国日本。上映時間93分。もしかしたら本作と野獣死すべしのエノケンヤリスギナンセンスドタバタコメディアクション演技は地続きなのかも。共に優作は探偵物語風な軽いメタコメディ演技ではないしジーパンとも違う。ライトでウケの良いテレビ向けじゃない。野獣での自嘲的かつグロテスクな教祖風人物。盛大にカルト教団的な物かつ集団主義的な物や権威権力を笑い飛ばしているよう。そうそんな風に彼の本質はもっとバンツマのような戦前無声映画的カイブツ。何処迄も異形の存在としての孤独の影。クリストファーリーやブルースリーのような怪優。優作の立ち姿にはそこはかとそんな孤高の自嘲的ユーモアが感じられる。はっきり言う。テレビでの人気者に成る時間があったらモット腐る程プログラムピクチャーに出て欲しかった。本作や野獣死すべしのようにツヨシナガブチヒトシマツモトなカリスマを否定しショーコーアサハラな教祖性を解体しまくる岸田森や伊丹十三や小沢昭一な痛快なモンスターとして。そんなプログラムピクチャーがまだあまりにもすくなすぎる。ゴミのようにあふれているようにみえるカルトVHS作品だが正規一般むけ娯楽作品にくらべたらかなしいくらいこころぼそい絶対数だ。そしてナントイッテモ幼児番組のヒーローとして身障者のカリスマとして。ゴジラのように。ミシマのように。

ア・ホーマンス

ラスト10分のカタルシス。これぞシン仮面ライダーv3。風のようにあらわれ巨大なサングラスを装着して変身する松田優作の姿はまさにライダーマンそのもの。うたれた石橋凌にジャンパーをかぶせるとみせかけ一瞬で改造蘇生手術をほどこす。これもv3にライダーマンがほどこした手術そっくり。奇妙な底辺の改造人間同士の友情を最高の東映魂でえがいた永遠不滅の大人のための東映特撮。片桐竜次とポール牧の不気味さはショッカー怪人以外何者でもない。

2023年11月23日木曜日

火垂るの墓

あかい幽霊は黒沢清やニコラスローグでおなじみだし冒頭で荒野へなげすてられるドロップ缶にはいった骨片の謎も今村昌平の復讐するは我にありの遺骨空中静止の謎とかぶる。そして全編が幽霊による回想なところはもろシックスセンスでしかもさきどりだし本作見事なまでに意味深で快調な出だしのスリラー映画ホラー映画しかも傑作。ゆえに。くらい反戦映画などという陰気なレッテルがはられおかげでエンタとしてのパンクとしてのポジティブさが年々うしなわれ抹香くさい芸術じみたかびくささばかりがめだってしまうようで実にくちおしい。本作しっかりアニメゆえの拡張された映画的身体性にみちている。節子はもちろん。細部にかいまみえる少年セイタの性衝動っぽいトマドイや怒りや反抗心も見事な。くらくギザギザな青春映画だ。特に空襲火事場泥棒に迄おちぶれ無法を謳歌し映画的に躍動する件は。自動機械戦争という殺人とセッパつまっての窃盗。どっちが重罪。といわんばかりだ。ニューシネマのようでパンクだしロックだ。無垢のみがすくいのポストモダン時代の人間の終焉歴史の終焉のスタンスで本作はかたられている。裏テーマの化学兵器にたいするいかりの昇華の結果のカタストロフィーな荒唐無稽さもゴジラからの東宝の伝統だ。雨どころか横穴の沼の水も人心もことごとく軍需工場の重化学物質いや未知の化学兵器材料か。それもオキシジェンデストロイヤーばりの終末物質。に汚染されていた。ヤバめな森の中の謎の横穴防空壕跡と沼もホント不気味。なぜつかわれず放置されたのか。なぜ大人達はちかづこうとしなかったのか。子供達ばかりが心霊スポットのようにあそぶばかり。ホント野坂原作の映画には傑作がおおい。エロ事師しかり。とむらい師しかり。誰か全漢字題三部作も映画化してくれないものだろうか。骨餓身峠死人葛死屍河原水子草乱離骨灰鬼胎草。対岸の高台の邸宅もきもちわるい。被弾し炎上する軍需工場地帯の幻影とかさなる。蓄音機の音が霧のように沼の上をすべり少女の幽霊が一人あそぶ。ひびきわたる空襲アナウンスの音色の幻聴のような酷薄さとかさなる。典型的なゴシックホラーの仕たてだ。この躍動からのこの落差。こわいし不気味なのだがなんともホスピタブルにいやされる。のも事実。特に真夏の夜の性夢か。暗黒にぬりつぶされた観艦式。筆者的に最高。これこそがゴシックの。ホラーの効用である。本作。この際。元祖ゴスロリアニメの。そのパンク的精神的古典とでもいいきってしまおうか。そして。くりかえす。まちがいなくあの沼は汚染されている。ホットスポットのような汚染地帯で予言的でさえもある。いや。あった。としてほしい。ドロップ缶におさまってしまう迄に汚染物質に侵食されていた骨髄そんな悪夢は近未来sfホラーの絵空事の中でだけでホントもう沢山なのだから。

仮面ライダーx、第7話、恐怖の天才人間計画

長坂秀佳脚本回の怪人はホント気色わるい。怪人はただの怪人で改造人間とかの出自があきらかにされはしない。とてもあいまいに濁らされている。指令もゴッド総司令として。怪人が日常の八百屋の店先など。ちょっと街の裏通り曲がり角に出向いたかとおもうと。そこでうける。怪人の人間態も街にすっかりとけこみ少女の憧れの人の良い大学生家庭教師だったりする。廃墟に不気味な機械仕掛けの地蔵やマネキンがポツン。ホームレスが拾ってきたのか。廃屋の隅のエロ本エロカセットテープのようにして。道中陣のように情報爆弾がしかけられている。

仮面ライダーx、第6話、日本列島ズタズタ作戦

日本の各地に武器をばらまく。もしくは日本のいたるところを兵器工場にしてしまう。それで嘘の情報を流し内乱を誘発する。挑戦人が井戸に毒を投げ込んで回っているとかな作為情報である。ゴッドが直接手をくださなくても日本人が。庶民が。いかに互いの信頼を失い凶暴化しているかがよくわかる。そんな便乗型の作戦が多いゴッドという組織。バドーの犯罪ロボットレンタル業に似ていかにも身軽で合理的。そこがまた情報ディストピア時代の犯罪組織の在り方を描いてて胸糞わるい。snsフェイスブックとかの偽アカウントを偽装すれば全く古くなく実行可能。そして更に今回の舞台。武器暴発事故を起こした兵器工場城下町の川崎界隈あたりだろうか元漁村。化学兵器や核兵器だと汚染もされていよう。露頭に迷い自殺したり。公害病に喘いだり。悲惨な事故遺児達がこの界隈にあふれかえっていく。水俣か火垂るの墓の神戸のように胸糞な地方都市である。そんな遺児達から見れば入植して来た飯場のオヤジ達は冷酷不気味な怪人に見えて当然である。夜中の造成地での酒盛り。おおさわぎしながら一升瓶を振り回す牛のような現場監督。

2023年11月18日土曜日

第18話そびえ立つ恐怖

イルーゴ。五類。致死率は低いが感染力が高い。つまり。それは汚染。コロナも今やウイルス汚染と言える。それは人の気分を消沈させる。裏で進行する闇権力。アッシャー家の崩壊の瘴気に相当する。全世界がポーやワイルドの時代気分厭世的世紀末思想に覆われる。さすが怪談新耳袋で触れて以来注目の継田淳ホラー胸糞な脚本。お父さんエッセンシャルワーカーに感謝。

2023年11月15日水曜日

走れクルーザー!Xライダー!!

仮面ライダーx第二話。ずっと前から豆腐屋の笛じゃないが八百屋の笛。で団地の住民は何度も扇動され心はとっくに荒んでいたのではなかろうか。平時でも戦時下のような妬み嫉みの密告暗黒社会が出来上がっていた。だから笛の合図ごときですぐ殺し合う。少年の父も八百屋の正対を知ったので消されたか絶望して自殺したのではないだろうか。いやもしかしたら八百屋の先代で真っ先に八百屋ごとゴッドに乗っ取られた。団地に親しまれていた八百屋だから余計に団地住民は騙され易くなっていた。江戸時代のどこかの藩のような話。とにかく近未来ディストピアの戦時ポリティカルフィクションとして通用しそうな大変すぐれた脚本。昨今の世界情勢そっくり。こうしたエピソードが多いxライダー。胸糞度では仮面ライダーシリーズ随一かも。

2023年11月6日月曜日

ロボット刑事、第一話、バドーの殺人セールスマン

敵はあくまでも科学を悪用する科学犯罪組織という意味でも。動くラボ一人科捜研としての機能も兼ね備えているという意味でも。科捜研の女や怪奇大作戦の面白さにも通じ。という意味ではロボット刑事はマイティジャックにちかい万能エンタで。ものすごい男子ワクワク感。かつその不気味なルックスと真面目キャラのギャップがカワイイ。とどめに万能パトカーのジョーカーはめちゃくちゃカッコイイ。ロボット刑事タイトルが仮面ライダーと並び。いかにも渋い大人な社会派リアリズムで東宝変身人間シリーズっぽい。人造人間キカイダーや変身忍者嵐のような子供向けヒーローっぽさとは一線を画す。

2023年11月2日木曜日

ライダー4号は君だ!!

ライダーマンけっこうザリガーナにやられっぱなしだが。あれは直前に信頼していた首領の裏切りが絶望的にメンタルにきていたため。本来の実力をはっきできなかったからだ。一応変身してはいたが。武器のアームはいっさいつかえていなかった。あれだと人間態でたちむかっているのとおなじだ。また絶望がなければアームをつかってミサイルからの脱出もできたはず。いかに絶望がふかかったかわかる。でも次回でザリガーナはv3にズタボロにされてやられる。スカッとする。