2018年8月31日金曜日

夜に舞う女

前半と後半のカラーが極端にちがう一口で二度おいしいおもしろさをねらうタイプのドラマづくりなるものがあるが本作もそれにあたりそう。b級映画などによくつかわれこの手法ダメダメな作品さえそこに破綻の美学を強引に適用まるごと奇妙な味の物語としてとらえなおしたのしめてしまうのでb級ずきにはたまらない。重箱隅すぎる屈折したオタクな見方ってか。とにかくすてがたいのだからしかたない。前半とってつけたような怪奇エピソード月につかれたピエロならぬ死神にとりつかれたおどり子とでもいおうか実はころし屋とそれに加担する組織の女にすぎないのだが怪談っぽく怪奇に意匠されていた。おどり子の最期などちょっと怪奇大作戦っぽかったりもする。後半は後半でもろmjな麻薬組織との怒濤のアクション編。怪奇性の微塵もなくなるがセットや小道具の魅力で観客をひっぱるので特撮ずきにはやはりたまらない。いまでは組織にアジト化されてしまった秘密工場その地下につくられたのかそれとももともとあったのか。硫酸プール。ゴボゴボと瘴気ふきあげるサマももうショッカー基地かよってくらいベタすぎてうれしくなってしまう。セットもよくできていてb級感あふれる安物っぽさと薄ぎたなさ。何人もがこの怪物的硫酸プールにのみこまれてゆく。たのしくてしかたない。プロファイターep6。つづくep7にはあの天田隊長がマフラーまいたニヒルなころし屋役ででてくるのだがころし屋よそおってのmjの潜入捜査にしかみえない。

2018年8月30日木曜日

死者がささやく

前半は新婚旅行先熱海で遭遇する恐怖体験再現ドラマ風ホラー。そんな手ざわり。後半は探偵と依頼人の女が熱海の海をバックにくりひろげるハードボイルド調ミステリー。そんな手ざわり。見事なぐらいに二部構成に切断されておりその破綻の美学。一粒で二度おいしいb級フィルムノワールな出汁がしみまくってます。新婚旅行なんだから人目につかないさびしい所へ足をふみいれがち。奥まった入江とか。そこでの案の定の心霊現象。きわまってのうずまく血の海。でもこれ。地中海とかだったらさながらフェリーニっぽくもなったりしてそれなりにスペクタクルなのでしょうがそこは熱海。なんともな見世物小屋感におちついてしまってます。でもそこがまたよいのです。また後半は後半で。カリブ海一望な展望台にたたずむ探偵と依頼人の女。かたわらには大理石の噴水が。とそうはなりません。そこは熱海。なんともな児童公園のような水のみ場。でもそこがまたよいのです。で最後にはフィルムノワールにつきものの運命の女のせつない死といったものもしっかりと用意されております。車中ピストル自殺します。くだり坂の途中でってとこがしっかりサイドブレーキをいれての覚悟の自殺だというのがよくわかります。まただからつっぷしてクラクションがなったままに。これもまた悲痛でなんともよいではありませんか。そうここだけは熱海の農道のような道路のショボさが効をそうしてます。まるでアメリカンニューシネマであのファイブイージーピーセスやスケアクロウのような荒涼さです。予算対策の為の大人の事情なタイアップ路線が見事にはまった瞬間なのではないでしょうか。追伸。おなじ脚本家による青い血の女と本作。怪奇大作戦中二大傑作和製フィルムノワールとして筆者ながく偏愛するでありましょう。

2018年8月28日火曜日

美女と花粉

まずこの新東宝風のセクシーなサブタイトル。トルコ風呂という性風俗や若者風俗をしっかりととりこんでいるところはまさに新東宝。硫酸をかけられとかというおだやかではないところもまさにスパイのリンチかってなかんじで定番中の定番な表現。本作は小川さおり編サーボーの大冒険ともいうべきさながら千と千尋の神隠しなやはり大時代的な大冒険ファンタジーいや怨念ダークファンタジーである。新宿にあるソープランドビルの屋上おどろおどろしい私設植物園そこの城主うつくしい裏にみにくい姿をひめた美魔女いや魔美女。もはやこれは湯婆婆そのものではないか。彼女がつかう呪術は熱帯植物の花粉をもちいうつくしいわかい女性専門に土人黒人のような姿にしてしまい一瞬のうちにころしてしまうというおそろしいもの。このへんの黒魔術ブードゥーをおもいおこさせる雰囲気は非常におぞましい。そこに敢然と単身のりこむサーボーこと小川さおり。赤頭巾のようないつもとはちがうアイドル然とした扮装とアクションがこれまたダークファンタジーヒロインしていた。そうそう前にこれはサーボーそっくりのアンドロイドではないかとかいたが。たしかに誰ひとりさそいにおうじてもらえなかった牧がアンドロイドでもいいからと私用でつくってつかって結果捜査にまでってことなのかも。なにせあの蒸気のバルブをけちらすようなアクティブなアクションはとても人間技とはおもえない。笑。この空中庭園でくりひろげられる神話のような一大バトル下界はといえば退廃した若者達の生態がこれでもかというほどえがかれる。まるで近代的都市文化にたいして未開の土着文化が反撃の牙をむいたような図式。当時のベトナムの戦場のような惨状が不条理にもここ東京に再現されてしまったかのような禍々しさなのだ。最後にsri 本部にもちこまれた熱帯植物にしたところでそのフォルムはまるで空襲につかわれるなにかのbc爆弾のようそんな風にもみえる。こうした東宝映画ノストラダムスの大予言をおもわせる終末感。本作はじめ後期の怪奇大作戦にはそこはかただよっていて未だ充分こわい。同時にモルモットにマニキュアしたりしてとてもかわいかったりするが上記のような女性週刊誌的グロテスクがすけてみえ80年代的乙女チックのさきどりもしている。この80年代性は怪奇大作戦初期うりものだった人体破壊ショック描写につうじていてまさに集大成と豊穣をかんじさせてくれる。

2018年8月27日月曜日

素顔の美しい女

プロファイター第一話。外海にいつも濃霧をまとって幽霊船っぽく停泊している謎の貨物船が不気味。まさにフィルムノワールな雰囲気満点。毎回サブタイトルがなになにの女になっているところもイイ。表面的にはスーパーマン的体力知力な007調オシャレスパイ物だがしっかり主人公はじめ去来する人物は正義側も悪側も裏街道の出なところをかんじさせ皆どこか陰がある。ありふれた日活無国籍アクション調もしくは東宝ニューアクション物にもみえるが新東宝国際ギャング物な世界観をしっかりのこしていてなかなか貴重だしあじわいぶかい。ドキュメンタリーのように異常にながいモーターボートでのチェイスシーン。しかしそのおかげで悪女になりきれなかった運命の女ファムファタールの最期がひかる。出あいの時のキッスとわかれのキッスが対になっていて船上での大人の男と女がつかのまの恋でなかせてくれるではないか。敵のボスというか幹部も結局本部である貨物船にはたどりつけなかったしたすけもこなかった。正体不明の謎の巨大組織はいつも冷酷非情なのだ。ふんする木村功とその情婦根岸明美がまたよかった。木村海におちただけなのにはずみでとまっていたはずのモーターボートのスクリューが回転したのだろうかまきこまれての悲惨な最期。というかなんかそれっぽい後味のわるい意味不明な描写。根岸のかわききった最期も。なかなか陽性にみせておいてしっかりダークなところは一見にたような80年代産トレンディ刑事アクション物などとはしっかり一線をかくしている。そこがまたなんともよい。そして貴重だ。さすが無印mjの名エピソードをいくつもてがけた監督だけある。戦え。になっての無登板が残念。たしかにフィルムノワールな男と女の刹那の機微をえがくには30分では無理があるってか。しかしそれをやってしまっているのが怪奇大作戦なのである。おそるべし。

2018年8月25日土曜日

散歩する首

エンディングクレジットタイトルバックのノムとサーボーの夜のドライブだが。たんなるcmスポンサーとのタイアップミニサービスシーンにすぎないかも。だがよくよくかんがえてみたりすればしたで冒頭事故る本作主要カップルの夜のドライブと対になっていることにきづく。ということでこれはこれ。もしやノム事故るのでは。そんなスリルとサスペンスを強引にみずからいいきかせもりあげたうえで視聴にのぞむこともできそう。そして最後になにやら婚約したのかこのふたりくらいな異常なもりあがりのなか皆にむかえいれられる。あまりにも不自然。なにごとがあったのかとすらさえおもわせられる。そして大理石の首におどろくというプチオチ。そうかこれは無事到着の祝賀だったのか。まオシャレなそんなプチオチ。といえばいえなくもない。そんなこんなで本作は無関係っぽいおもわせぶりニセ伏線的雑エピソードやタイアップシーンがきらめくがごとくにちりばめられていて。みかえせばみかえすたびに目眩さえしそう。しかもそれらが破綻なく手際よくまとめられている。まさに東映ノワール古参の職人監督らしいさすがの演出回。

2018年8月22日水曜日

海底原人ラゴン

元祖テレビ版日本沈没といったところか。田所と小野寺をかねそなえたようなヤクドコロのイケメン博士が島の危機をうったえるが住民はきかない。そんななか原人さわぎが。万城目はここでもちょっとエキセントリックで。沈没よりも原人のほうに興味津々なゴヨウス。で一気にインスマスでホラーな作風に。でも大丈夫。しっかりとイケメン博士の妹が原人も人類もともに沈没の危機にさらされている。ちっぽけな深海の異人さわぎに右往左往しているばあいではない。そういわんばかりに地球生命愛にみちた慈愛の姿をみせやはり兄妹を中心とするスケールおおきな日本沈没バナシへと話をもどしてくれる。とにかく映画級なスケールをじっくりとたのしみたい。そういう意味でも本作は総天然色とするより本作ふるきよき日本映画のようにしてたのしむことができる本来のモノクロ版を筆者個人的におす。あのテレビ版日本沈没もどうせなら怪獣や怪人をだせばよかったのに。本作のできのよさをみているとけっしてマイナスにはならなかったそうおもう。

2018年8月15日水曜日

さらば愛しき人よ! 最後に届く奇跡とは!?私、背中で魅せます

義母と娘のブルース。俺と悪魔のブルースのようなタイトル。悪魔ではないが娘と奇人の物語。ちらみしていたドラマ。ここにきて実父しんで女の子もいっきに女子高生。義母もなにやらマイナーチェンジ。喪の描写が尋常ではない。ギャグなのか。意図的なのか。のこされたふたりがはなればなれにならないよう実父がのこした奇跡だという白と黒でドレスアップしての家族での記念撮影。冗談ではなく実行されたのだ。こうおもったからだ。もしかしてしんだのは実父ではなく義母と娘のほうなのでは。実父だけのこし世界が破滅したのでは。よりかたい絆をきずけるように漂流教室のように義母と娘は冒険へとたびだてさせられたのでは。滅亡とまではいわないまでもタイムスリップかパラレルワールドかおきたのでは。義父はいまひとりこの世界の荒野をサバイバルしている。まさに死後の世界にあるような不思議なパン屋。妖怪めいた店長。デブがイケメンに転生再会告白の青春ファンタジーなながれ。とにかく真夏の夜の夢のようなよくある連続ドラマの突然変異的迷名エピソード。そんな演出になっている。とにかく原作よくしらないので一本の独立した作品としてたのしませてもらった。

2018年8月13日月曜日

砂の上の宝

まずとある犯罪グループの金塊強奪系のクライムムービーとして本作をみてみることにする。そうすると死の谷の洞窟にしつらえられた秘密基地風。なにやらそこはかとb級感おび屈折した特撮心くすぐられる。フィルムノワールとしても一気に二人が惨殺。開放型密室としての荒野の特質がよくいかされしっかりと完全犯罪としての殺人がダークにえがかれこのあたり意味もなくなぜかミステリーとしてもりあげられててさすがというか異様。さて同時にこの犯罪グループ。リーダーが天才科学者であり。物語も一種のマッドサイエンティストsf。人工冬眠装置の手順を説明するところなどロケット発射時のようで管制とのやりとり秒よみかよな緊張感でこれまたしっかりsf。以上前半までだが。後半はがらりと作風もかわり心理劇風に。例のよくある砂漠サバイバルがねっとりじっくりえがかれる。ここの気もちわるさは特筆もんで本作を只者じゃなくしている。色々あったがマッドサイエンティストが未来の路肩で気のふれた浮浪者として一笑されかたづけられただのたれじぬ。この虚無感無常観はいかにもモンスターの最期のよう。にもみえる。そしてラストのおしゃれな未来カー。このあかるい造形デザインが逆にまた皮肉で。それまでの悲惨さリアルな生々しさをより逆なでする。もしくは。この未来カーにひきにげされてたりしたら。THE RIP VAN WINKLE CAPER The Twilight Zone

2018年8月10日金曜日

罪ぶかい追放者のむれがふきだまって自然発生したようなあしき歴史しかもちあわせていないようなアメリカ開拓時代の荒野のはてのちいさな町。墓と絞首台しかないような町だし絞首台のむこうにひろがる荒野もまるでどこか漠然としカキワリのようにみえる。日本でいえば戦国時代野武士同士の戦乱にまきこまれるのを戦々恐々とばかりしてふるえているような臆病人ばかりの村といったところだろうか。たとえば笛吹川や楢山節考。七人の侍などいるはずもなくましてやシェーンのように夕陽のガンマンのようにスーパーヒーローガンマンが風のようにやってきてはのさばる悪党を退治すると風のようにさるなどまさに絵空事とうていありえない。実も蓋もなくそんな現実をつきつけてくる。そこにすむ若者だってどうせ性に悶々とし退屈な日々の生活のなかくらい眼ばかりぎらつかせているのだろう。そんな町でそんな若者の一人が酒をあび馬車を暴走させ少女をまきこんでしまった。そんな若者を絞首刑にし観覧するぐらいしか娯楽もなく他にはといったら胡散くさい行商人のもってくる日用品に実益と退屈をまぎらわせるくらいしかないそんなどこまでもすさみきった住人たちばかりの町。いかにもポーやブラッドベリの小説世界そのものな中世的暗黒度はまんが日本昔ばなしレベル。本作。そんな町でおこったある日の素敵な出来事もしくはちょっとよいおはなし。いやいやそんなわけにはいかない。そんな町でおきたんだものなにやら後味のわるいどこか腑におちないそんな話になってしまってる。近代以前物語以前。口承ホラーな。ほのぐらい。感覚ばかりが。ごろりと。なんのイキモノかシロモノかもわからないかのように。ただなげだされている。ミステリーゾーンいやトワイライトゾーン。まさにミステリーにすらなっていないトワイライト。薄明をえがいたダークファンタジーならぬトワイライトファンタジー。薄明のほうが暗黒よりも不気味ということか。

2018年8月8日水曜日

超常現象

西部劇のようなちいさな町白昼空から石がふってくる。もうそのシュールな映像気配だけでやられてしまった。ディランのウォッチタワーをおもわせる黙示録のかわいた世界観が最高。どこかほのぐらいクトゥルー暗黒神話感にもつうず。おまけに後日談のようなペテン師話もくっついてきてこうなるともうブラッドベリさながらもしくはやはりディランのサイケ詩さながらドアーズのセカンドアルバムジャケットさながら黄昏の宵闇のむこう側からくるったサーカス団さえ町にやってきそう。本作世にも不思議な物語なるオカルトオムニバスドラマシリーズのなかの一本で当シリーズなのだがやはりオカルトドラマ事件記者コルチャックのようによくできているのにコルチャック同様きわめて不遇にあつかわれてひさしい。双璧のミステリーゾーントワイライトゾーンのようなキャッチーなsf臭がないからか。もしくはキリスト教国ではちょっとヤバいオカルト黙示録感がそこはかにヤバいせいか。ましてやそんなバタくさい宗教臭なので日本ではさらに不遇。ワンコインdvdとして超不完全ラインナップが書店の片隅でバラうりされるも埃をかぶるかすぐ撤去。くりかえし様々なコンプリート豪華ボックスセットでリリースされる願望幻想さえ白昼夢のようにみてしまいそうになる。

2018年8月4日土曜日

『アルファヴィル』(1965年)

たしかに当初は地球そっくりの別の星の街とかんじただろうがすぐにそれはやはりここは地球だ。ただいつもとどこか微妙にちがう。そうかんじるようになる。ここの罠というか二重性というか都市の魔性に主人公レミーコーションもだろうがみている我々もまきこまれる。そこが本作の鍵だ。つまりクーデター。というのもさっき変な白昼夢をみたからだ。あつさばかりのせいでもないだろう。というのもまどろむすこし前川本三郎著雑踏の社会学というふるい文庫本をめくりデモから見た町というのをよんだからだ。夢の方の内容はといえばこうだ。新宿の街。西口はいつもどおりなのだが東口にでてみるとどこかが微妙にちがう。どこか別の駅におりまちがえたかのような気分。おおきな道路をはさんで左右にビルがたちならぶ。ありふれた風景だ。でも車が一切とおっていない。おまけにやたら工事中の地下や施設ばかりでいたる所に架設の足場がそびえその足場の方へと迂回させられる。足場には急な階段がつけられのぼってはおりてをくりかえさせられる。なにか軍事都市化への超大規模な工事のようにもかんじられる。とにかく奇妙な街だった。そしてよんだ本の方の内容だが。デモから見た町の町とは新宿それも1968年10月21日国際反戦デー新宿騒乱の日。それで変な夢をみたのだろうか。