2018年8月10日金曜日

罪ぶかい追放者のむれがふきだまって自然発生したようなあしき歴史しかもちあわせていないようなアメリカ開拓時代の荒野のはてのちいさな町。墓と絞首台しかないような町だし絞首台のむこうにひろがる荒野もまるでどこか漠然としカキワリのようにみえる。日本でいえば戦国時代野武士同士の戦乱にまきこまれるのを戦々恐々とばかりしてふるえているような臆病人ばかりの村といったところだろうか。たとえば笛吹川や楢山節考。七人の侍などいるはずもなくましてやシェーンのように夕陽のガンマンのようにスーパーヒーローガンマンが風のようにやってきてはのさばる悪党を退治すると風のようにさるなどまさに絵空事とうていありえない。実も蓋もなくそんな現実をつきつけてくる。そこにすむ若者だってどうせ性に悶々とし退屈な日々の生活のなかくらい眼ばかりぎらつかせているのだろう。そんな町でそんな若者の一人が酒をあび馬車を暴走させ少女をまきこんでしまった。そんな若者を絞首刑にし観覧するぐらいしか娯楽もなく他にはといったら胡散くさい行商人のもってくる日用品に実益と退屈をまぎらわせるくらいしかないそんなどこまでもすさみきった住人たちばかりの町。いかにもポーやブラッドベリの小説世界そのものな中世的暗黒度はまんが日本昔ばなしレベル。本作。そんな町でおこったある日の素敵な出来事もしくはちょっとよいおはなし。いやいやそんなわけにはいかない。そんな町でおきたんだものなにやら後味のわるいどこか腑におちないそんな話になってしまってる。近代以前物語以前。口承ホラーな。ほのぐらい。感覚ばかりが。ごろりと。なんのイキモノかシロモノかもわからないかのように。ただなげだされている。ミステリーゾーンいやトワイライトゾーン。まさにミステリーにすらなっていないトワイライト。薄明をえがいたダークファンタジーならぬトワイライトファンタジー。薄明のほうが暗黒よりも不気味ということか。

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