2018年12月31日月曜日

かまいたち

タイトルクレジットの下水ながれこむドブ川にひっかかったバラバラ死体の腕。見事なまでに下水道な汚濁感。つづく死体検分シーンにしてもその立地なにやら下水道内の正体不明な地下にしかおもえず。おちる水滴の反響音さえきこえる。犯行自体が橋の上でしかおこなわれないのは真空切断機の設置とか効力の事情によるものだろうがバキュームカーのようなその切断機のフォルムはとにかくグロい。いずれにしてもつねにドブ川を背景に凶行がおこなわれるという点ではやはり下水道をつよく意識せざるをえない。鑑識が川底をさらうシーンはひとつのハイライトにもなっている。また現場に去来する野次馬全員を個々にうつしてその写真の束を夜どおし床にひろげて検分するシーンがあるが。これにしてもなにやら全然sri本部内とは到底みえず地下の巨大空間でおこなわれているような印象それにつづく暗室シーンにしてもだ。とにかくいろんな角度でアンダーワールド。地下とか下水道とかのキーワードがぬぐえない。そんな下水道映画な本作なのである。とどめは半地下のようなくらい喫茶店でのアロワナショーである。もうこうなっては下水道の巨大ワニである。なにもかも下水道下水道である。下水道はなにも垂直方向にばかり底がぬけているのではない。なんと牧の暗黒推理は犯人のはたらく町工場の裏庭が犯行現場へと水平方向に底がぬけてしまっていることをみぬいてしまう。そう町工場は。町は。すべては。象徴地下世界の最暗黒ターミナルに存在していたのだ。都市の地下を江戸川乱歩屋根裏の散歩者さながらにあみのめのような下水道をつたいいたるところのマンホールから神出鬼没する殺人鬼そんな恐怖をクトゥルー神話とはまたべつの暗黒絶対恐怖として宇宙的にえがいたそんな下水道映画の傑作それが本作だ。

2018年12月28日金曜日

かまいたち

怪奇大作戦全話中。白い顔。青い血の女。散歩する首。そして本作と。名作サイコをおもわせる作品。すくなくない。なかでも本作は犯人が出番もおおく主人公だがその寡黙さ。ノーマン以上に不気味かもしれない。くわえてその登場シーンにはあのどこかやすっぽいテレビライクな円谷特撮なじみのトリッキーな画像処理がなされておりより犯人の人間ばなれした印象をあたえている。その即物っぽさ。うすっぺらさのせいかラスト。野村の主観幻想のようにしてうつしだされるバラバラにされたマネキンさおり人形のトリッキーさ。でさえ叙情的にかんじられるほど。それをながめる犯人のさだまらぬ視線。そこでおわってもじゅうぶんにおそろしいのにさらにおいうつかのごとく。観念的シーンが。やすっぽく。やはりトリッキーな画像処理でつけくわえられている。黒目と白目のいれかわったさだまらぬ犯人の目のうごき。このフィルムを常用。タイトルバックとしサイコシリーズのようにオノマツオの連続サイコドラマさえできそう。それもオノマツオあきらかに人間ではなく東宝変身人間の系譜のガス水道電気につぐインターネット。超sfな第四のインフラ怪人として。そうまるでダークサイドシリコンバレーのようなあの町工場街。その闇の奥からうまれた。

2018年12月24日月曜日

三大怪獣地球最大の決戦

本作はなにかとキングギドラでかたられがちだがガメラにおとらないよいこのみかたモスラがすてきすぎる。ドラマ部分もまるで太陽にほえろのような青春刑事ドラマだ。あかるい作風がとてもよい。前作で親兄弟をころされみなしごに。でもくじけない。双子のうちでも微妙にちいさいほうだったくせにもうけなげでけなげでモスラ最高だ。ゴジララドンさえも戦災孤児仲間のように最後には崖のうえからみおくってさえいる。なける怪獣映画である。戦後史的にみればゴジララドンは戦争の恩讐をひきずっている。しかし本作でのモスラはそれをこえるようさとしている。まるで二人のくらい目をした傷痍軍人をはげますはだしのゲンのようでもある。故郷のインファント島も今はみるかげもなく荒廃。たよるものはなにもない。なのに本作でのモスラはただただ明快に暗黒の象徴キングギドラにたちむかう。そういえば本ブログ先日の。前作でのモスラ亡霊説。うらづけるような展開が本作においても用意されている。本作では金星人の霊が王女にのりうつりやはりキングギドラの脅威を予言おおくの人命をすくうのだ。なので本作でも前作の母モスラの霊のようにモスラには無名の無言の庶民めぐまれない子供たちみんなののぞみがよりそいたくされ応援しているといえる。この明朗さはうらをかえせばそれだけ戦災孤児や傷痍軍人といった戦後の薄明をえがきそこにうもれた闇をうきぼりにしているともいえる。だからなけるのだ。同時に本作はそれまでの核の問題も言及していないし自衛隊も後景にしりぞきおよびごしの安保的国防である。あてにさえしていないのだ。モスラは筆者のようにひよわな戦後民主主義の子供ではない。原初の子供である。だからこそ薄明なのだがそのぶんファンタジーにもあつみがでている。さてハリウッドでリメイクされる本作こうしたおもいもふくめてのぞみ期待したいとおもう。

2018年12月23日日曜日

モスラ対ゴジラ

本作はそのタイトルからさも二大怪獣対決物にみえるがシリーズのゴジ逆そしてキンゴジとは完全にことなり実に斬新な変則物そしてその冒険的姿勢は成功なかばだが先進性においてとんでもないくらいすばらしいものそうみたほうがよい。本作なかなか解釈がむずかしく本ブログでもけっこうたたいてホコリをだしてきたがホコリができってしまったのかとんでもない本作の正体ここにきてみえてきてしまったからだ。それはつまり。ズバリ。ジュラシックパーク。怪獣観光地帯ハッピーセンターその興亡史。ゴジラの進行ルートも干拓地から離島まですべて広大なハッピーセンター敷地内とみなせばよくそしていかに本作がジュラシックパーク系なものであるかがそうすることでてにとるようにわかろうかというもの。ただ問題となるのがもうひとつの怪獣地帯そうインファント島である。そこで筆者はこうかんがえた。モスラはすでにしんでしまっておりインファント島もしずみただいっかくモスラの墓がのこされているのみと。そうすることで怪獣地帯どうし印象がかぶることなくハッピーセンターへと集中することができる。卵をかえせとの成虫の初回飛来だがきづかれることなく森の中に突然いたというあのシーンは筆者どこか幻想的でとてもすきなシーンなのだがあきらかにへんだしおかしい。あの成虫の姿は小美人がつくりだしたテレパシーであろう。そして再飛来のさいのゴジラの卵からのひきはなし。あれはやはり小美人のサイコキネシス。そう本作でのモスラ成虫は亡霊怪獣だったのだ。

2018年12月21日金曜日

美女と液体人間

なんともいびつに健全風な科学者とキャバ嬢の青春物語なこのかんじ。もしかしたらまともなストーリーなのは。冒頭ギャング三崎が謎の発砲音をのこし下水道にながれさるまで。そこまでなのではないだろうか。そこまででスタイリッシュなフィルムノワールとしての本作はすでにおわってしまっているのではないだろうか。あとは三崎のいまでは液体人間になってしまいその残存意識すらとおのきつつあるいかにもこころもとないシュールな三崎のゆれうごく主観視点なのでは。表現主義とはうらがえったキッカイなロマン主義なのだから。フィルムノワールとはそうした表現主義のうえになりたっているものなのだから。あくまでもいまここにいない三崎を主人公とした屈折しまくった。けれどムチャクチャかっこいいフィルムノワール作品。それが本作。なぜこんなかんがえにいたったかというと。あくまで筆者超個人的意見だが。東宝の特撮としてみたばあいどこかハタンがひどすぎるのだ本作。でもなぜかチョーひかれる。あのドゴラやラドンやオール怪獣大進撃のあのかんじ。もしかしたらこれこそがゴジラ第一作にはなかった。円谷というより本多監督の。あの成瀬監督にちかい。変すぎる。モチアジのマックスなのでは。ゲージツなのでは。そう。いやにあの無機的に側溝にながれこむ雨の夜の冒頭シーンがながくながくかんじられるし意味深すぎるのだ。陰鬱なギャングとしての人生ではなく新進の若手科学者の人生をいきなおそうとでもしているかのようにみえるのだ。すべてはなかったことだったのである。刑事物の側面といい幽霊船物の側面といい大炎上といい反核モードといい全部バラバラでベタすぎる。まるで脈絡のない薬物トリップ風景としかいいようがない。そうするととってつけたようなあのラストの。博士の。液体人間とは放射能時代へのあらたな人類の適応であり進化である。というオフでのセリフ。あれがまとをえてくるのだ。ふにおちるのだ。そして三崎にとっておおいなるすくいの言葉ともなっているのではないだろうか。たぶんに皮肉的かもだが。そういかにもあわれな人生をおえた三崎というチンピラ。そう本作の主人公ミサキとはガス人間ミズノ以上に実に実に魅力的なズタボロまけ犬ダークヒーローだったのである。以上液体人間感情移入できないとひょうされがちだが不満をもらすまえにおもいっきり感情移入をこころみた結果筆者えた見解。結論。本作ヒッチコックのめまいやサイコのような超実験的フィルムノワール。

2018年12月17日月曜日

シン・ゴジラ

フィルムノワールそのノワールは闇というより薄明である。暗黒映画とやくされるが暗黒大陸ならばアフリカだろう。つまり新大陸。それはかつてのアメリカ西部であり南部である。亡命天国魑魅魍魎妖怪怪獣ばっこするところ。ベトナムもそうであろう。沖縄も中近東もか。広島もそうである。だから枯葉剤や原爆が躊躇なくつかわれた。そして効果をまるで異星のように調査した。モロボシダンとアンヌである。はだしのゲンである。全南部化した全アメリカに登場したトランプももはやゴジラにすぎない。いまや全世界が暗黒大陸化してしまった。本作ラストによって巨大冷凍ゴジラ樹そびえる東京は日本はまさにその暗黒大陸の象徴といえる存在となったというしかない。だろう。いや超理性の宇宙人やaiからみれば暗黒惑星か。いらなくなったら躊躇なく絶滅しにかかるだろう。その墓守役が矢口であり巨災対である。かれらは悪か善かそしてかれはヒーローなのかダークヒーローなのか。ただのゾンビなのか。いまなぜか世界からの観光客が増大している。オリンピック。万博。いや911で暗黒大陸とかしたからだ。本作見事なポストコロニアル時代のフィルムノワール。ポストとは反ではなく汎である。

2018年12月16日日曜日

サイコ

フリッツラングとかとともにフィルムノワールのパイオニアだったヒッチコック。でもラングやオーソンウェルズのような芸術的フィルムノワールをものにできずにいた。そこでワンシーンだけを芸術としようとしてダリとくんだり。芸術ではなく空想科学的フィルムノワールならとれるんじゃないかと鳥をとったりした。そんなフィルムノワールのマスターピースへのこころみのひとつが本作である。革命的実験的ワンシーンによってフィルムノワールをこえるフィルムノワールをものにしようとしていたのである。まるでキューブリックのようなはてしなき上昇志向である。で。本作で導入したのはなんとアニメーション的感覚。そうあのシャワーシーンは今ではよくあるストロボでのスライドショーギミックあれとそっくりなかんじなのだが。しかしそんなものとくらべてはならない。なんと本作のそれは音響とのコラボふくめ極限まで洗練されデザイン化されている。だからそれはもはや最新感覚のcgアニメをみているような感覚さえみるものにあたえる。鳥では円谷的特撮を。そして本作では手塚的アニメを。と。すさまじいまでにはやすぎる。そのジャポニズムサブカル要素導入。ぶっとんだポップ感覚である。キッチュ感覚である。もはや人間は二次元の無生物としてあつかわれている。いやゲームのアバターだ。だから本作のこのシャワーシーンはきわめて80年代的スプラッターきり株ムービー感覚にみちみちている。やはり本作こそナイトオブザリビングデッド悪魔のいけにえその両作品を用意した直系元祖である。といわざるをえない。

2018年12月14日金曜日

地獄1960新東宝

本作と吸血鬼ゴケミドロそしてウルトラqガラモンの逆襲にはうれしい共通点がある。これらすべてきわめてすぐれたダークヒーローをかいしている。ダークヒーローたるもの主人公であってはならない。しかしただたっているだけで主人公をくってしまうたたずまいがある。そして男なのか女なのか。そうフィルムノワールでいうところのファムファタール運命の女の要素がなくてはならぬ。運命イコール薄命である。そう悲劇的な最期がえがかれる。薄命は薄明にもつうじる。幽明境をことにするかんじ。いきているのかしんでいるのか。このはっきりとしないかんじがみるものをひきつける。同監督は後年いきている小平次でこれをよりつきつめる。いまでいうところのlgbtな役者も適役だ。ピーターとかジュリーとか傷天やバンパイヤ時代の水谷豊とか。本作の沼田曜一はすばらしい。一転ガラモンの逆襲ではあいすべきトラック運転手だ。しかしどこか非日常をひきずっているのでダークヒーロー義那道夫との対決がひきたつひきたつ。本作でも天知茂のいかにも厨二な主人公。二人のあやしい関係性は本作を完全なる青春怪奇映画にしている。そう断言する。ゴケミドロも吉田輝雄がどこか天知してて厨二っぽいので高英男のダークヒーローさをきわだててた。

2018年12月7日金曜日

自給自足の達人

ナントカの達人の回って結構あったような気が。シリーズか。あまりにもな荒唐無稽さトンデモ回に心地よすぎてついウトウトでの試聴。ゆえにTVerでのネット再視聴を敢行。便利になったものである。無料である。期間限定である。自居に録画機能もない。テレビすらもっていない。中古スマホでのワンセグ環境のみ。そんな筆者である。さて。冒頭がすばらしい。山の中の銃による殺害事件だからか。反体制組織やカルト教団の内輪もめとかがうたがわれてでもいるのだろうか。やたら鑑識の数もおおく上空にはヘリ。この無意味なスケール感。ワクワクさせられる。典型的なヒトケのなさフル活用の今シリーズ一話のような。おなじみの山の事件。うめたりうめられたりの連続。ワクワクする。しかしそれがどうしたことだろう。まるで現地は京都府警の裏庭のようなちかさ。さもなくば科捜研は捜査のためにテレポート装置さえ導入したのであろうか。いやマリコの特殊能力か。マリコさん足はっやってなアミちゃんセリフが超イミシン。そんなかんじ。すごいワクワクさせられる。スピルバーグもびっくり。それにしても村人全員がライフルを所持しているって。とても害獣対策とはおもえない。ここはツインピークスな不穏な不穏なアメリカの恐怖村かよ。ショカツもへったくれもなさげな広域捜査はまるで宇宙パトロール隊である。容疑者コンビの元caは宇宙飛行士である。それが今では正規軍と反乱軍とへとなかたがいし。一人は反文明の辺境惑星にすみ。そう。一人はブログ惑星の女王。そんなかんじのその後の少女宇宙戦士たちの仁義なきたたかいズブズブ少女漫画。とか。そんなかんじでいいかんじ。取調室のうちっぱなしのコンクリート壁なんか。まさにそういうかんじ。