2017年8月30日水曜日

大魔神逆襲

人類の神話的苦難を思わせる冒頭の魔神に寄る火の七日間シーンが効果的。本作は過酷な絶滅後世界。楢山節考をベースにした四聖人少年達の死から再生への神話である。山岳風景と緩やかな流れの演出が崇高でさえある。僅かなシーンだが捨てられた婆様の甦りのような北林谷栄が神々しい。女子供ばかりの大半が死に絶えたような小さな小さな限界村。男達は地獄谷で強制労働させられている。本作最早近親相姦に寄る繁殖さえ寄せ付けないとでも言わんばかりに前二作と打って変わって女優不在。ここまで来ると逆に清々しい。男達の地獄谷での強制労働は火器の為の硫黄採掘だとされているが核兵器の為のウラン採掘に見ようと思えば見えさえする。そんな地獄のような景色の荒涼とした地獄谷。ハンセン病患者の働くタタラ場か。やる方もやらせる方も生身だ。汚染による登場人物全員死亡めいた救いの無さが全編に漂う。巨大な排気塔が原子炉のように不吉に聳え立っている。それを尽くゼロに帰すかのように魔神が踏み潰して行く。ラスト。杉坊の神様の連呼が切実。この杉坊が一寸自閉症っぽくてそこが又聖性を感じさせる。

2017年8月28日月曜日

眠狂四郎無頼剣

眠狂四郎はタイムトラベラーだった。円月殺法とはなにか。剣は時計の針をあらわしている。その逆回転をみせられた相手は、一分間が一時間にもかんじられ、まちきれずきりかかってしまう。しかしその距離は1メートルが1キロに、体力の消耗も一時間分、なのできりかかったその時すでに、相手はほぼ力つきている。