2018年11月29日木曜日

ガメラ対大悪獣ギロン

本作。その主役だがシリーズ中ほかの作品。それらにおけるガメラだったりーの少年たちだったりーのというのとはちょっとちがう不穏な空気が充満している。これはとんでもないことである。そういえば対ギャオスや対ジグラにはそれっぽい健気な女子大生がでていたようにおもうし大魔神シリーズでは健気女子は鉄板だが。そう本作の主役は宇宙人女子ふたりバーベラとフローベラ。その名前のひびきからもわかるようにちょっとトウがたってはいるが設定はあきらかに少女であろう。そう本作その彼女たちの。メルヘンである。少女漫画である。宝塚歌劇である。ボーイズラブならぬガールズラブジャンルである。こんなのはシリーズ中のみならずすべての怪獣映画においても異常事態だ。ふつう怪獣ものといえば男の子を対象にしているものだが本作はぜひ女子にこそみてもらいたい。そしてどうかすきになってもらいたい。ネット上で女子のそんなかきこみがいつかみれることを夢みる。そう残念なことに男でありしかも小二病の初老のオッサンである自分には本作正確な評価がくだせないただもやもやするばかり。もし自分にショコタンのようなオタクな娘でもいればぜひみせてみて感想をあおぎたいものである。少女といえば物語の導入も円盤であやまって宇宙の彼方に実の兄と外人の恋人をうしなってしまう健気な少女からはじまる。彼女とにかく無事をいのる。どこまでも健気なのだ。星に願いをなのだ。メルヘンなのだ。そして主役のふたりの宇宙人少女たちだが人類滅亡後ただふたりいきのこり氷河期せまる惑星テラからの脱出を夢み身をよせあうようにくらしていたが。はたせずハカナクかなしく死んでゆく。そんな少女版楢山節考のような残酷お伽噺作品。もうガメラでもなんでもない。テラといえば地球テラへというsf少女絵漫画もあったがそんなかんじ。とにかくこの女子ふたりが名演技だし物理的にも登場時間が異常にながくほぼでっぱなし。で。やはりどうみても主役としかおもえないのだ。

2018年11月26日月曜日

続・猿の惑星

本作は猿映画としては完全に失敗しており今みると猿惑シリーズ随一のトンデモ編もしくは番外編とうつる。しかし第四作の征服とならべた場合その意味と弁明うきぼりにならないでもない。そうまるでポジネガの関係。たしかに征服での人類のえがかれかただが生体実験とかロボトミーとかどこか偏執的で本作のテイストをのこすしまた本作でのゴリラ侵攻これも実にちゃっちくなってしまってはいるが征服での暴動とおなじ次元事態であろう。そしてなによりテレビ放映のさい核のおそろしさを子供たちのわれわれ世代たちに第一作とたてつづけようしゃなくつきつけて初見時トラウマ化させたという点では大成功している。つまりノストラダムスの大予言系絶望映画。それは本作がホラー映画の手法をとっているせい。そしてだからかsfかつホラーとしてはかなり冒険的こころみすぎて中途半端はいなめない。しかし新大陸暗黒時代の魔女がりや白人至上主義秘密結社な薄明の裏アメリカ史っぽい陰湿さはとにかくエグい。これらを征服は克服し傑作たりえている。そう閉鎖空間ドラマとして地下世界が本作ちょいちゃちすぎるのだ。だから征服はそれをロケとした。それもゾンビのように現実在の巨大モール街を利用。本作での地下街。それは怪奇映画になくてはならないゴシックな洋館の役目をおうものだろう。もしこれがロケで。たとえば廃坑を利用したゾンビ続編死霊のえじきのようだったら。死霊のえじきのように成功していただろう。ミュータントはゾンビというより完全にドラキュラである。これはこれでなかなかゾンビにはないヌメッとしたエロチックさでよかったが。そしてなによりテイラーつまりチャールトンヘストンの存在感。彼が大人の事情で主人公となりえずまるで最後にすべてをもっていく超ダークヒーローヴァンパイアハンターヴァンヘルシングたりえている点。いずれにしても第三作の新をやはりトンデモアクロバチック続編な。シリーズ随一の現代アクション編とするならばやはりアクロバチック続編である本作ももっとシリーズ随一の静謐レトロなあじわいの古典的ホラー編として評価すべき。ミサシーンのヤバすぎるオーメンそのものな音楽は絶品なんだから。

2018年11月23日金曜日

フリマアプリの達人

今期シリーズ主役が絶妙に脇役化してきていると前にかいたが今回の本作は子役主役のフリマアプリなる独裁aiに翻弄される大人たち出品物生産の奴隷労働をしいられる子供たちモンスターペアレントは文字どおり人間ばなれのモンスターな見事に童話チックジュブナイル作品。これにはおどろかされた。タブレットがまるで魔法道具のようにあらわれたりきえたり。真犯人とその動機もまるまる童話に登場するわるい大人そのもの。終始どこか地に足のつかないような浮遊感。クライマックス。リアルフリマ会場でのスラップスティック場面。ゆるキャラまでもがシュールに浮遊してたりさえして。冒頭どことなくティムバートンっぽい人工的な照明が気になったがナルホドそういうことだったのか。

2018年11月17日土曜日

着ぐるみを殺した声

おぞましいオバハンたちにこづきまわされるようにしてパワハラされるイケメンたち。かれらの側へとよりそうようにして事件を解決へとみちびく万年天然理系少女マリコ。この構図があたらしい。さて今回の主役はヤンヤンなる不気味な着ぐるみであろう。ゆるキャラをきっかけに現実社会を不気味に侵略しつつ感のあるモフモフ。殺人トリックそのものがその着ぐるみ中身のいれかわり。街中を徘徊しても警備員にもあやしまれない。そんな着ぐるみ天国の現代。三次元を侵略する二次元。なにより不気味だったのが科捜研本部の大テーブルによこたえさせられまるで司法解剖でもされるがごときの画角でとらえられるヤンヤン。さらに誰もいない本部を幽霊のようにさまようヤンヤン。中身はマリコ。またもそのホラーキャラがシュールに炸裂。

2018年11月13日火曜日

ガメラ対深海怪獣ジグラ

ゴジラ対ヘドラと同年の作。でしっかり海洋汚染も同様に踏襲し。ともに宇宙からの来訪者なのだが。ヘドラ以上にその存在が生命体としてはかなり難解というか複雑というかイイカゲンというか。そのトンデモ生態。よくいえばクトゥルーっぽいともいえるが。みずからの頭をホラー洋館によくある剥製の壁かけのようにして円盤のロビーの軒先に鎮座しておられるのにはまったくおどろく。ごていねいに蜘蛛の巣までからみつかせ。ほぼ新春かくし芸大会のハナ肇かよ。ジグラ星人。それよりなにより本作ジグラが。個性的な怪獣ばかりのガメラシリーズのなかでも永遠不滅なのはジャンル的にサメ映画ともとれるそのフォルム。三段背ビレを水面に波だて。おそってくるのだからこれはこわい。で本作あのジョーズ2ににている。ジョーズ2。じつにただしい怪獣映画パート2のありかただった。ホラー映画から見事なまでに子供むけ怪獣映画へとかわっていた。シーテーマパークが舞台なところがまずおんなじだし。そしてともに筆者のガキ秘密基地ゴッコ魂に点火。かつおおいに満足させてくれるところ。ジョーズ2では無人島探検とばかりにイカダとヨットで沖というがすぐそこの送電島までという子供らしさ。本作では。たどりついた無人島が絶海でもなんでもなく鴨川のチョイ沖。ホームレスと遭遇。怪奇大作戦24年目の復讐をおもわせ迷作いや名作の気配濃厚。で御当人のガキは絶海どころかタイムスリップまでして過去の島にまできてしまったとまでいっている始末。この日常の冒険化のハナハダシサ。このユルサ。自分も。高校が造成地の新設校。掃除時間。校庭のうちすてられた長靴をひろって。横溝な。伝奇探偵ゴッコにふけるような奴。まさに中二病ならぬ小二病。なので。みているこちらをジグラジョーズ二作ともなんともメタフィクショナルかつシュールな気分にしてくれる。そんなハッピー映画。いや映画ハッピー。追伸。壊滅した世界のため人類は鴨川シーワールドに避難そこをおそうジグラむかえうつガメラなのだが。だからなのか普通。海を画面にいれる陸側からの構図なのだが本作とにかく海側からのシーワールドをつねにはいした構図ばかり印象にのこる。怪獣映画としてはスゴく変。やっぱりディストピアsf映画だからか。

2018年11月11日日曜日

一滴の血

血の池地獄があるのなら血の雨地獄だってあってよいはず。主人公はじつはすでにしんでいる系の作品としておもいっきりたのしめる世界終末風景ものの本作。ここにえがかれている東京っぽい都会はすでに地獄界なのだ。ゆききする雑踏は亡者たち。豊田商事なバブル時代を猛烈に皮肉っている。そうこの世界。おしゃれきわまりないが。白黒だし。水のしたたる音が終始。空間に反響してて。とにかく変。うり手市場の好景気。地獄には今日も履歴書が大量におくられてくる。60年代は例のあのボーリング工事音だった。あれもじつに不穏だった。異界だった。本作の無人のブティック風景は60年代のあのウルトラセブンアンドロイド0指令やあの白日夢の作中の無人デパート風景につうじている。無機的である。そう地獄にちがいない。ディストピアにちがいない。いやもしそうでなくてもラストカットのこの直後。血の大雨がふるのだとすれば。その終末風景たるやハンパないだろう。冒頭すれちがった雨もふってないのに傘をさす女。主人公だけが半狂乱で皆。平然と傘をさしてあるく。その伏線か。どこぞのカルト宗教の布教pv。汚染物質が大気圏にふきだまり赤潮ならぬ赤雨そんな環境破壊ノストラダムスの大予言系終末パニックトンデモ動画。としても。充分かつ最強といえよう。そう本作。個人的収集ジャンルであるところの。そう例の。下水道映画でもある。みつけたぞ。ここにもあった下水道映画。嗚呼。素敵な地下世界万歳。ディストピアsf万歳。ところで怪談新耳袋には佐野史郎が演出したカセットテープというのもあって。丸尾末広の漫画。電気蟻そのもの。80年代ジャパニーズニューウェーブバンドの当事者としては。本作もふくめ。怪談新耳袋。以外なところからのわすれかけていたオルタナロック魂その映像化はうれしいかぎり。

2018年11月9日金曜日

土門刑事の女

土門刑事主役回。わかかりし日のアウトローな熱演ぶりがかなりよかった。今のちょっとつかれたかんじがそれとよく反応し見事な土門ハードボイルド回にしあがっていたとおもう。ファムファタール運命の女として登場する昔の恋人役。苦労人の薄幸なかんじもよく。まさに哀愁の土門刑事とおにあい。よってその死もきわだつというもの。この二人。出番もおおく。しっかりメインにすえられてるのはホント好演出。そのぶんマリコのトラさん化にはおおいにわらわせられた。同時になにかかなりおさえた演技になっているのも印象的。そこんとこ怪奇大作戦の三沢回での牧のようでもありさすが。前回が犯人三人組メインのマリコホラーキャラ全開回だとすると今回。ストレートにマリコのギャグキャラが前面に。そして脇にまわっているそれもそれ以上のなにかがありそうで不気味。そういえば初回は所長がその人間性全開でメイン。やはりマリコ脇っぽかった。今期はこんなかんじでいくのだろうか。でもなんかやはり嵐の前のマリコ脇役化のようで不穏さがただよい目がはなせない。

2018年11月1日木曜日

首都消失

後半の破綻のしかたが前線基地テント作戦シミュレーションへとまとまってしまうとだいたいサンダ対ガイラやゴジラ対ヘドラのようになってオタク御用達自衛隊映画のレッテルをいただきがちにおもう。それはそれでよいのだが世界大戦争や日本沈没のような正統派大作映画的感動はうすい。たしかに前半のポリティカルフィクションを後半もつらぬくのはかなりむずかしいだろう。しかし先日の曼陀羅の岸田森のようにキャラしだいではドンキホーテ的哀愁アメリカン傑作ニューシネマ感をかもしだせる場合もある。そうたとえばピーマン白書。そうネタ的トンデモ映画になるまえにいさぎよく男涙のズタボロ映画とひらきなおればよかったのだ。そこがなにやら80年代のこうした映画が70年代のものにまけるゆえんなのではないだろうか。いまや前半の集団ディスカッション劇部分だけを安全志向でうけついでそこでおわってしまっている映画のなんとおおいことか。さて本作でのズタボロドンキホーテキャラはというと。渡瀬でも山下でもない。盲目のストリートロッカー松村冬風である。元一世風靡。山下になぐりたおされ雷雨のなか感電死必至でエレキをかきならし尾崎風バラードをうたう姿はいまや完全になかったことにされているリモートジュンスカなどの原宿系ストリートロックのズタボロさをいまにつたえてあまりあるみごとさ。みずからホコ天ライブを経験した筆者はもう涙。石野陽子らアイドル風味もあって本作じつは金八第二シーズンにおとらぬストリート系学園危機一髪ならぬ首都圏危機一髪ものの大傑作。