2016年11月29日火曜日

フランケンシュタイン対地底怪獣

なぜか本作にひかれる自分がいる。小学校時代あれほどのめりこんだはずなのに結果怪獣映画ファンを貫き通せずいつのまにかロックに浮気してしまっていたという中途半端な特撮ファンという出自をもつ自分。だからだろうか。理由なき反抗のニックアダムス。坊っちゃんシリーズの高島忠夫。ロカビリアンでこそないが両者ちょっと屈折した青春映画で名をなした出自は明らかに青春スターだ。そしてなにより無名だがフランケンシュタインを演じた古畑弘二。彼は本作によって悲運だが間違いなく青春映画スターとして歴史に名を残した。間違いはない。そう本作は間違いなく青春映画だ。今風にいうと童貞映画。青春映画におけるドーテーとは間違いなく形而上的にみると怪物的存在にほかならない。そういう演技が要求される。彼は両青春映画スターの間で水野久美を相手に見事な一生一代のドーテー演技を見せている。間違いはない。言葉なくその眼と身体のみで複雑な心理を表現している。これをロックといわずして青春といわずしてなんとする。

2016年11月28日月曜日

怪獣大戦争

キングギドラはモニター映像としてだし。ゴジラとラドンは冬眠姿だし。怪獣達の初登場シーンそのカタルシスの無さは半端無い。初戦の舞台もセット感バリバリだし。ここまでくるとタイトルの怪獣大戦争。スタッフの悪意に満ちた皮肉としか思えない。お陰で相対的に人間ドラマが前面に。それどころか子供が見るにはアダルト過ぎる濃密な男と女の空気感さえ。大人になった今だからわかる。土屋嘉男の変態演技。中二病を先取りして余りあるし。ニックアダムスのコネリー007張りのセクシーさの前には水野久美さえ清純に見える。前作がa級なローマの休日なら。本作はよくあるチョット変な日本を舞台にしたエキゾチックなb級アバンチュール映画。そんな風に見直してみるとその演技合戦はまれにみる面白さだ。怪獣達も負けてはいない。試合開始のゴングを待つゴジラ。座り込んで手の甲で首元の汗を拭う。萌える。ラドンもいつになく人格いや獣格を感じさせてくれる。なるほど。人間怪獣入り乱れてのその怪物的演技合戦。そういう意味での大戦争だったのか。笑。

2016年11月25日金曜日

小さな故意の物語

サイコキネシス少女の殺人としてコチラの観る視点をほんのチョットずらすだけで感動の青春純愛ストーリーが果てしなくオゾマシイsfホラーへとダマシ絵のように反転する。その瞬間のカタルシス。そうなるとデバガメの担任教師の存在がガゼンいきてくる。青春=ホラー。持論の良質の見本。少女の右手は悪魔の右手か。彼女はサイコキネシス。それともサイコパス。オムニバス東野圭吾ミステリーズ第八話。

2016年11月20日日曜日

袖志の女

では、なぜ一刀は死を覚悟したコクゾーにゲセヌかたちで勝利できたのか。コクゾーの電送剣界においては勝利なるものは生命力や無や空や偶然ギリギリのラインで決するとされる。コクゾー戦の後、深手を負った一刀を村の女達が敵討ちせんと刀を向けるが、そこでの勝負の決し方も何故そうなったかを見せない演出になっている。一刀が返り討ちにしたのか女達が暗黙裏に一刀の余りにも深い女達への共感の思いを感知し自刃したのか。そう、このギリギリの線での自殺か他殺か幇助かという事象。これを犯罪のトリックとして使った作品がある。大岡昇平の事件だ。映画化もされた。実は本エピソード袖志の女はトンデモなsf作品めいて見えるけれど、そのテーマは大岡昇平作事件と同じものであってトンデモでも何でもなく実に深い人間の根源さえ問うものだったのだ。加害者と被害者の余りにも深い共感のせいで自殺か他殺かが最早、物的証拠ではボーダー判別できないレベルの犯罪。わかりやすい例で言えば心中のカタワレが生き残ってしまうケースである。彼は彼女は殺人者なのか犯罪者なのかギリギリのボーダーでしか最早、語ることができない。もう一つは帰ってきたウルトラマンの郷秀樹のように自らの身を犠牲にして何物かを救う行為。これは自殺なのか事故なのか災害なのか。その結果の死。前者が純愛ゆえの心中ならば、これは愛国心ゆえの特攻が例と成ろう。そこからトンデモないドラマが生まれる。トンデモない謎の闇。闇ゆえに安易なヒューマニズムを越える実存の可能性のヒカリもそこにはある。どうしてもヒロイックなものカッコイイものを作り手も観る側も求めてしまう業の深いジャンルとしての特撮や時代劇などという物は矢張、最終的には、その境地を目指すものなのだろうか。

2016年11月16日水曜日

袖志の女

中丸電送人間忠雄の登場。いわく自身は無であり空であり切ろうとすれば己を切ることになると。なるほど何やら部分的電送がすでに始まっているらしく断続的に不規則な光をその身体から放っている。勝負の決し方も不条理極まりない。刀だけが電送され突き刺さる。

2016年11月15日火曜日

哀燈流し

にしても本ドラマシリーズ子連れ狼。悪人だらけだし国中荒れに荒れている。柳生の暗躍。徳川の腐敗。宿場宿場がどこも広域組織暴力団の勢力抗争下のような荒れよう。毎週怪獣出現のウルトラの大人版時代劇版と思い納得し先に進もう。ゆっくりしてはおれないのだ。乳母車が戦車化なんて序の口。なぜなら漫画版だと最終的には江戸城へ殴り込み。さらに話はsfファンタジーゲームじみて江戸城地下に巨大ダンジョンまで登場。少年剣士大五郎の大冒険活劇。ギリシャ神話のオデッセイか。

2016年11月11日金曜日

鳥に翼、獣に牙

これは純愛物だ。確かに殺伐とした感の方が前面に出てはいるが温泉場を舞台にした抒情と微妙な男と女の関係の方に自分は強く引かれた。なんなんだろう湯煙と純愛がなじむのは。失楽園からテルマエロマエまで。傑作の多い子連れ狼シーズン1。

2016年11月10日木曜日

オーシャンと十一人の仲間(1960)

新宿武蔵野館だったか上映後のエレベーターで立川談志と乗り合わせる。

2016年11月9日水曜日

ウッドストック愛と平和と音楽の三日間

マクセルかなんかの宣伝キャンペーン。無料上映会。上京前の地元の公会堂かなんかで見た。超短縮版。今なら無料で当たり前どころか会場借りてまでやるほどでもなく無料配布のdvdでもおかしくない内容。けれど当時は有り難くて勢い込んで会場に向かい緊張して並んで興奮して開始を待った。けどテレビでモンタレーを見たときほどの感動は無かった。やけに荒涼とした印象。ジミヘンのアメリカ国歌は今みてもスゴいが。今日は米大統領選。

2016年11月8日火曜日

死神の子守唄

重箱の隅かもだが。病院裏。京子の処置を待つシーン。麻生博士の肩越しに誰かヘタリこんでいて直ぐに看護師が駆け寄る。精神科でも隔離病棟でもないからもしかしたら麻生型スペクトルg線開発のための人体実験被験者が脱走したのか。この場所やけに雰囲気あるしズット何かの断続的な機械振動音してるし。不気味だ。

2016年11月5日土曜日

エンドレス・ワルツ(1995)

ほとんどロマンポルノの名作のように男女ふたりだけにフォーカスし、そのキャスティングも演技も、ふたりが答えていて素晴らしい。発端とクライマックスで使われるハーモニカによるアメージンググレースが泣けた。上から目線で偉そうな批評になるが、しっかりとスター誕生やグレンミラー物語の系譜の音楽映画していて好感が持て好きな作品だ。