2018年1月31日水曜日

死者がささやく

温泉地といえば不倫旅行かといえばそうともかぎらない。文学的にみても伊豆の踊子雪国から天城越え失楽園まで泥沼の恋がつきぬけての昇華してしまったかのような透明な純愛の舞台ともなる可能性をもひめているそれが温泉地なのだ。そんな温泉物は時にメロドラマをこえてファンタジーかsfかともおもわせられる場合さえもある。本作も一見地味な怪奇風味のスパイ物にみえてその系譜からはひどくかけはなれてはいるようにはみえるけれどもいやいや実によくできた純愛物である。そしてファンタジーに迄つきぬけてしまっている。というのもゲストの牧紀子が空虚なロボットのような存在なクノイチや女スパイといったいわゆる組織の女を見事にえんじきっているからだ。そういう意味ではやはり温泉地と純愛の組あわせという事で同系譜の本怪奇大作戦中の一本吸血地獄とも双璧をなす逸品ともいえて筆者やはり吸血地獄同様本作も偏愛の一本にやはりくわえおかねばならぬだろう。たしかに本作。以前から何やらやけに理由わからず筆者ひかれていたのも事実。ある意味主人公カップルの年齢がいっている分。より更に人生につかれた感がより濃厚な分。吸血地獄より温泉純愛物としてのあじわいは本作の方がふかくもあるかも。

2018年1月29日月曜日

子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる

悪党に蹂躙されて凌辱地獄と化した山奥の温泉村その性描写はもはやエロやバイオレンスをかるくこえ悪魔のいけにえレベルの田舎ホラー。みているこっちは膨張するどころかちぢみあがってしまう。そんな中で可憐にくりひろげられる一刀と娼婦の実にこまやかないやされる純愛。だからこそ本作は。時代劇をはるかにこえてファンタジーでありsfだと筆者はあえて断言する。そしてファンタジーはファンタジーでもダークすぎる位のダークファンタジーであり同時に一刀の性仙人っぷりをみせつける荒唐無稽なわらえないブラック艶笑譚でもある。目からのむ強壮剤。もしくは昭和猛烈サラリーマン平成コジラセ中高年御用達いやし系ファンタジー。シリーズ第一作からしてこうである。そのsfファンタジー度のたかさ。弟勝の御用牙シリーズもまけてはいない。流石東宝だ。たとえばアニメ君の名は。今日にいたる迄しっかりオタクオヤジ達のオアシスとして伝統をまもってる。

2018年1月27日土曜日

美女と花粉

本シリーズの1クール目は科学犯罪とコジラセ中年な犯人像という事でしっかりとグロテスクしていてわかりやすい近代特撮のモダンさをたもっているのだが2クール目にいたると犯人像からしてからがまずくずれはじめる。若者やら女性やらフツージンがめだってくるのだ。またシリーズ自体グロテスクさショッキングさというよりそのトーンその物が終末感をおびて何やらポストモダン化してってる気がする。犯人というより世界その物がくるいはじめた結果ごく普通の人間が加害者被害者の区別なくな犯人像と化してしまってる。ちょうどそのかんじはというと東宝の日本沈没とノストラダムスの大予言とのちがいといってしまったりする。そうすさまじいスケールでそう環境が汚染されまくってしまってる。呪いの壺の空からふりそそぐリュート物質のシーンはsst空中爆発の熱線シーンをおもわせるし。霧の童話にしても京都買いますにしてもハンパない汚染きわまっての終末風景で。あの作品のあの悪夢の終末いや終末の悪夢と同質だし。24年目の復讐かまいたち幻の死神死者がささやくにでてくる海や川は直接的描写こそないがしっかり汚染されてる気がするし。こうもり男と果てしなき暴走はスクラップ汚染とスモッグ地獄だし。トドメは本作。犯人の女はなぜ無差別にころすのか。くるってしまってるとしかおもえない。くるってしまってるといえば当の熱帯植物こみなのである。本来は毒性もなくのどかに熱帯で自生していたはずなのに。それが大都会に移植された事によってその花粉がマニュキュアと反応する事態になってしまった。アルコール成分配合加工製品あふれる大都会では今後爆発的に同様の事件がおこる。きっとおこる。もちこまれてはならない物がもちこまれてしまったのだ。グローバル時代ますますます脅威。皮肉というにはあまりにもな絶望感だし今日にもおよぶスケールだ。正にあのマタンゴのラストをおもわせる。怪奇大作戦。ルーツをおなじくする東宝。変身人間シリーズ。だからかその終局もおなじ位のその絶望感この筆者の小心を大スケールでおそう。

2018年1月25日木曜日

ゆきおんな

怪奇大作戦での雪男ネタ。やってほしかったなぁ。東宝の獣人雪男みたいなの。ウルトラマンのウーの回じゃないけどスキーかついでsriメンバーこぞっての登山。そんなのみてみたかったなぁ。助さんは颯爽と。牧はおちゃらけってかんじで。まぁちかいかんじの牧は本作でもみれるけど。ということで本作。ちと強引に解釈しなおしてみた。ゆきおんなって事になってるけど実体じゃない幻。それよりよくみると小松方正の風体と役柄。もろ雪男じゃん。おたずね者ゆえ世間から身をかくし雪ふかい山奥の温泉宿を転々としている。怪物でこそないけれどまちがいなく怪人物。そして子をおもう親心。そしてやはり因果なその最期。うんやっぱり雪男だ。そして本作それをひきたたせる為なのだろうか。いつになくマトヤ所長。いかにもなシティーボーイならぬシティーダンディー。それっぷりが見事にえがかれている。スケート場でのおしゃれなすべりっぷりに名カメラマンっぷり。敵におそわれたりなんかもするがうでっぷしはからっきし。オヤジ対決編として本作。筆者この年齢だからこそなのか実にいやされかんがえさせられた。最後の最後での初期怪奇大作戦臭もこうばしいオヤジ達の逆襲。恐怖劇場アンバランスへの布石。アンバランス。第一話からしてオヤジどころか老人パワー大炸裂。

2018年1月24日水曜日

死者がささやく

かなしみの女スパイといったところだろうか。コンパクト型テレコや指紋付手袋などスパイガジェットもたのしい。前半は温泉地での新婚旅行というどこかなつかしい昭和風俗に血まみれの亡霊をからませやはりどこかなつかしい怪談風。後半は筆者大すきな怪奇大作戦のもうひとつの側面三沢のキャラを存分にいかしたハードボイルドタッチ。白亜の展望台にたたずむ三沢は本当に絵になる。しかし全体をとおしてはある組織の女の時間をかけての堅気の男への擬装結婚工作そしてその途上での葛藤そんな物語だ。そういえばつい先日迄綾瀬はるかでそんなドラマをやっていた。本作典型的なファムファタール物。この女。もしかしたら地下銀行をぎゅうじる暗黒街の大物の娘でもあったのかもしれない。暗黒街というとざされた苦界をいつかはとびだしたいそんなかわいい夢をいだいた富だけではみたされないかわいそうな少女時代でもあったのではなかろうか。男への情のうつりやそれにともなう煩悶などかなりセクシーにえがかれていてとても子供向とはおもえない。またそれをこの女優牧紀子がゲストをこえ主演としてきっちりえんじきっている。

2018年1月19日金曜日

晴れ着と銃弾

怪奇大作戦の少年探偵団バージョンとして緊急指令10-4・10-10なる番組が後にはじまった。そして昨夜ついに科捜研の女に少年探偵団バージョンが登場。筆者のような人間にはうれしい初夢おとし玉。そこで一寸怪奇大作戦ネタから小休止。緊急指令10-4・10-10は時代を反映し怪奇大作戦をcb無線で強化し本部の教授をはじめとし科学の力で近代犯罪にいどむという物だった。そこで本題の本作だがやはり時代をとりいれスマホなどを実にうまく活用それどころか緊急指令10-4・10-10にたいするオマージュなのかトランシーバーまで登場。しかも事件自体が血生ぐさい物ではなく子供むきの一寸カワイイへんな動機。おまけにこの時期におよんで本作だけが正月仕様なのも時代のスピードにたいする昭和テレビそだちスタッフのレジスタンスをかんじた。

2018年1月14日日曜日

京都買います

美弥子はみずからをしてついに永遠の虚空の彼方へと仏像のうまれた場所へと仏のうまれた何処かへと転送させると永遠に牧の前からいなくなってしまった。輪廻転生の無常すらたたれ虚無その物の何もかもがなくなってしまったその絶対的ウツロの跡にいれかわり仏像がおかれたのはせめてもの仏の慈悲だと筆者はおもっている。三島の天人五衰のラストがちょっとよぎる。しかしsfなのか本作はそれではおさまらずその瞬間転送装置は暴走をはじめあらゆるうつくしい物すべて異次元の虚空に転送され京都は荒廃の極にそれどころか世界その物もここにおわりをつげてしまった筆者は本作のラストをこうその位の規模の物とし実質的怪奇大作戦最終回の大団円と解釈している。既に番組冒頭から世界その物がゆらぎはじめていたではないか。物質転送装置なんて発明それはかるく核をこえる終末的マッドサイエンスなのだという事。前シリーズウルトラセブン最終回やはりおなじ世界滅亡がテーマだった。がそれは回避された。しかし筆者セブン最終回数話前の円盤が来たそのラストのスクラップの山の間を沈鬱によこぎるフクシンが本作のここでの牧とかさなってしかたない。あの不穏な世界のおわりをさえおもわせるサイレンなりひびくあのシーンこそウルトラセブン実質のラストシーンではなかったか。

2018年1月13日土曜日

ゆきおんな

発端は山奥の湯治場。人里はなれたサナトリウムや湯治場にはやんだ者以外にも様々の事情をかかえた者がいたりする。胸をわるくして再起をかけるボクサーや指名手配犯罪者だっている。たとえば本作の強盗団のボス。足をわるくしたふりをして絵などかきながら山奥の湯治場を転々と里におりる事なく身をかくし行方をくらましているつもりなのだろう。そんな怪人物を小松方正が見事にえんじている。ピストルでの自決なんか妻ごろしの因果な右翼の影の大物か教団教祖とかっぽくてえらくかっこよい。トーマスマンの魔の山とかどこかドイツ浪漫派文学のかおりさえたちこめる雰囲気満点の出だしだ。しかしそこは怪奇大作戦それだけではおわらずプラス怪奇でしっかり山の怪談ともなっている。絵にしこまれたダイヤのありかをめざす娘が軽装だったりドラマの尺もみじかいので心ぼそい登山の雰囲気がいまいちで娘が母の面影だけを心のささえとして山中で夜をあかしたりするかんじがあまりでていないのが残念。それでも追手の山中にひびく銃声とかスリリングでしっかり山岳ミステリーしてる。かつブロッケン現象からのゆきおんなの特撮もすごい。もうすこし積雪がおおければさがすのもほぼ絶望的なかんじやばらまかれたダイヤは春の雪どけまでまたねばとかのロマンやテンションもあがったろうに。

2018年1月11日木曜日

狂鬼人間

やっぱり小川さおりは二人存在する。かまいたちや美女と花粉の項でもくわしくかいたはずなのでそれらも参考にしてみてほしい。本作では自動車事故でしんでしまうのだがいくら警察がグルの狂言だとしても死亡事故現場を見事捏造再現する為にはそれ相当にたかい運動能力をどうしてもようするようにおもわれる。本作の犯人陽動作戦をみていても。そしてすかさずやっぱり脳裏にうかんだのも。そうやっぱりここにはしっかりつかわれたのだとおもう。あの禁断のサーボ式制御ロボットサーボーこと小川さおり2号そうにちがいない。かまいたちの時のようにはねとばされてバラバラにこそはならなかっただろうけれども全身骨折のいたましい姿が一瞬でケロ筆者の目にはしっかりとうかんだのだから。そしてもしかしたらさおりのいきた姿を目撃したその事がもっともおおきな理由として犯人をしてみずからを狂気の世界に永遠にたびだたせさせたとしたら。やっぱりさおりロボット存在説。きわめて真面目にみずからおもくとらえはじめている。怪奇大作戦のもつ得体のしれない不穏さにこの事はすくなからずつながっているようにおもえてならない。たとえそうでないにせよ小川さおりという存在がトリッキーかつドラッギーであり怪奇大作戦という物全体にきわめておおきく影響しているその事にまちがいはない。牧と二人歩をあわせ番組がすすむにつれその存在がおおきくなってってる。

2018年1月8日月曜日

氷の死刑台

本作はまじめだけをとりえにコツコツはたらいて住宅地にちいさいけれど一軒家をやっとたてた中年サラリーマンが、ふとした事から冷凍保存装置という氷の死刑台つきの、不吉なゴシック古城ならぬ古ビルに7年間も幽閉され、やっと解放されたがすでに怪物にされていたという、きわめて正統的なゴシック劇であり、同時にマッドサイエンティスト物として、怪奇大作戦では制作されなかったと残念におもいつづけていたフランケンシュタインモチーフ、本作こそはそれ。

2018年1月7日日曜日

氷の死刑台

サンタクロースのような冷凍人間の造形もよいがゴシックホラーとして場という物がよくいかされている。そこに何より筆者は感心する。古ビル。その地下室なのか。冒頭。ビルのオーナーの老人がころされる。変な研究の為以外誰もかり手のないさびれた古ビルのかんじがよくでている。もち主のズサンな死がそれを増幅する。更にはこの古ビル。火がはなたれ無惨なやけ跡となってしまう。正にゴシック。この美術セットのやけただれたかんじがまた悲惨でよい。さてマッドサイエンティスト達だがツテでもあったのだろう。大学の研究室をかりたみたいだ。そこで一人がころされ構内の噴水にたたきこまれる。のこされくるってしまったマッドサイエンティストはやけ跡をふたたびおとずれまたも火をはなとうとしている。もう時間感覚がうしなわれてしまったのだろう。おそろしい。冷凍人間にした仕うちがみずからに。因果応報。どうやら冷凍人間。ネグラをこの古ビルにしているみたいだ。そこもまた何ともあわれでよい。

2018年1月6日土曜日

幻の死神

冒頭いきなりでの船幽霊の好登場その造形もよい。巫女装束の即身成仏ミイラ。それも巨大とうたっているがいかにもな撮影スタジオ感。でもそれが効をそうしているのか地方のさびれた秘宝館内で秘宝をみるようなさびしげでひんやりとした雰囲気に我々をみちびいてくれる。またその虚無感をsri事務所内場面のひびく同時録音セリフが増強してくれてもいる。所長と三沢の地味な男だけの二人旅なのもよい。東京からの移動時のbgmは正に男はつらいよその物で最高。さすがに子供番組なので三沢ののど自慢披露も場末のスナックのカウンターでとはいかず海岸での散策でなのが一寸残念。つかれた大人の為の怪奇大作戦瀬戸内旅情編。