2019年9月30日月曜日

ドラマ阿刀田高サスペンス趣味を持つ女

ゾクッとするような長身喪服の女。無機的で体温のひくそうな美人である。郊外海辺のマンションの廊下のつきあたりの一番奥フローリングの何もない殺風景なその部屋ではあかずの巨大冷蔵庫が異様な存在感をはなってうなりをあげている。その実写版ブキミ鉄人28号かナチスがらみの東宝フランケンシュタインの心臓かもしくはうしなわれたアークかのような巨大冷蔵庫をいとしそうにだきしめる巨女。屈折しまくった暗黒の母性さえかんずる。女にはいいよるストーカーのような男がつきまとっていて女の次の餌食となりそう。女はみずからを独占欲のつよい女とかいってるし。歳をとればとるほどそれはつのるともいってる。巨大冷蔵庫の中には一体何がはいっているのだろう。一体何がはいるのだろう。異常な男女関係の連鎖に腐臭と妖気がただよう。阿刀田高の極私的二大傑作短編ホラー小説そのうちのひとつのドラマ化である。もうひとつもやはり冷蔵庫ネタでこちらもドラマ化されているのでそれもまた近々かたろう。リアルタイムでみてずっと記憶にひっかかりつづけの本作。その主題歌の記憶ともあいまってバブル残照な気だるい時代のあの雰囲気が横溢していたと記憶する。クールさも過剰ならもれでるそこはかとないグロサとエゲツナサもわすれられない。

2019年9月6日金曜日

風丘早月のメッセージ

マリコという人間は骨の髄まで科学捜査官化しており生身の目の前での出来事より熱感知カメラごしの姿とかレーザーマイクごしの声や音の方をリアルにかんじる。前回がマリコを我々からみて。の。ホラーだったとしたら。今回はマリコにとってのホラーとは何かをみせきる。風丘が目の前でころされるより機器ごしでこそがホラーなのである。以下ネタバレ。とにかく今回は誰も死人がでなかったその割にはどっとつかれるヘビーさ。それは奥ふかいところで風丘主人公の法医学ドラマにしっかりとなっていたからだし。なによりも背景にあるのが仮想通貨などという得体のしれない世界のひろがりだったからだ。