2020年1月26日日曜日

女王陛下の007

アルプス山中で細菌兵器としての高級娼婦を育成培養。し。彼女たちどこかクローンっぽい。世界の要人へとばらかんものとするまさに女の敵中の敵のような近未来型ドラキュラ伯爵そのものなスペクター首領ブロフェルドをえがくダークすぎるホラー映画中のホラー映画だ。その設定のグロさキャスティングのシリアスさは鬱映画一歩手前。このギリギリ感がサイコー。たちむかうのがシリーズ中異色中の異色の超フェミニスト型007ボンドということでタイトルの女王陛下の云々というのは最高にマッチしている。まちがいなくぶっちぎりのシリーズ最高傑作。本作の遺伝子なくしてシリーズの21世紀までの延命はありえなかった。同時にこれさえあれば22世紀までも延命可能そう。だ。ともいえる。まさに重厚長大冷戦マッチョ時代価値観当時における駄作失敗酷評作が100年スパンで古典的芸術作品化するのをみるおもい。まさにシェイクスピア級である。そのドロドロな脚本世界にスピード感のある無機的な切り返しの速い編集の映像が乗っかる見事なコンニチ的サマも。なんともいやはや時代先取りである。古さを全く感じない。本作もはやそのアクション場面。ホラー映画のショック場面それと同質の物と化している。痛みさえ伝わってくる殴りあい。暗く底無しの谷底におちていく悪党たち。極めつけは雪かき機に取り込まれ肉塊に。そして。なんといってもこれでもかの人工雪崩のホラーな描写。まさにまさに皮膚感覚レベルでしっかりとした体裁のホラー映画となっているのには。まいったというしかない。でも。腹一杯になるどころか何度もすぐに繰り返して最初から見直したくなるバランスのとれた硬派なゴージャス。さ。がある。そう華麗なアクションや美しい風景によってしっかりとオブラートされているからだ。見事というしかない。こういう作品をこそ私的偏愛フェイバリットというのだろう。