2018年8月30日木曜日

死者がささやく

前半は新婚旅行先熱海で遭遇する恐怖体験再現ドラマ風ホラー。そんな手ざわり。後半は探偵と依頼人の女が熱海の海をバックにくりひろげるハードボイルド調ミステリー。そんな手ざわり。見事なぐらいに二部構成に切断されておりその破綻の美学。一粒で二度おいしいb級フィルムノワールな出汁がしみまくってます。新婚旅行なんだから人目につかないさびしい所へ足をふみいれがち。奥まった入江とか。そこでの案の定の心霊現象。きわまってのうずまく血の海。でもこれ。地中海とかだったらさながらフェリーニっぽくもなったりしてそれなりにスペクタクルなのでしょうがそこは熱海。なんともな見世物小屋感におちついてしまってます。でもそこがまたよいのです。また後半は後半で。カリブ海一望な展望台にたたずむ探偵と依頼人の女。かたわらには大理石の噴水が。とそうはなりません。そこは熱海。なんともな児童公園のような水のみ場。でもそこがまたよいのです。で最後にはフィルムノワールにつきものの運命の女のせつない死といったものもしっかりと用意されております。車中ピストル自殺します。くだり坂の途中でってとこがしっかりサイドブレーキをいれての覚悟の自殺だというのがよくわかります。まただからつっぷしてクラクションがなったままに。これもまた悲痛でなんともよいではありませんか。そうここだけは熱海の農道のような道路のショボさが効をそうしてます。まるでアメリカンニューシネマであのファイブイージーピーセスやスケアクロウのような荒涼さです。予算対策の為の大人の事情なタイアップ路線が見事にはまった瞬間なのではないでしょうか。追伸。おなじ脚本家による青い血の女と本作。怪奇大作戦中二大傑作和製フィルムノワールとして筆者ながく偏愛するでありましょう。

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