2016年12月17日土曜日

吸血地獄

暴力としての吸血。旧来、怪奇映画の吸血シーンそれは血の接吻と呼ばれたりして擬似性交っぽく描かれてきた。が本作は違う。血こそ一滴も流れない。が。そのゴクゴクという音。ほぼ一滴も残さずという発言。あのメイク。かなりショッキングだ。コドモムケユエニソウナッタ。明示こそされないが連ねると、ある種の相当に過激な人体破壊描写だ。だとしたら、つまり意図せず本作はムードよりリアル、怪奇よりホラーに急接近してしまっている。アクロバチックな作風だ。そして本作は落ちぶれ果てた若い男女を描いている。ウミタダレタ生活は松竹ヌーベルバーグで日活ロマンポルノだ。しかし、そう思わせてパートナーの死別と吸血鬼化。一種のトンデモジュブナイルへと雪崩れ込む。コドモムケユエニソウセザルヲエナカッタ。結果。ホテルでの四人のカケアイは、その照明の物理的暗さだけにトドマラズ実に下世話でデバガメチック。そのドタバタなヤンチャっぷりは相当に楽しい。制限制約の中での冒険が意図せずトンデモな結果を出した好例。暴力としての吸血とチカマツ世界のドタバタ喜劇化。トンデモない大発明。まさに。怪奇。大作戦。の成果。

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