2024年12月31日火曜日

霧笛が俺を呼んでいる1960

第三の男の翻案というだけで興味ぶかい。ウィーンの戦災廃墟感をどう翻案するのかとおもったら。霧。自然の霧もだが暗黒街ヨコハマの陰謀の黒い霧。その霧のなかを赤木があるく。このあるく姿がヨコハマににあいすぎているし誰にもマネできない。たとえ優作であってもだ。そしてわすれてはならないのがその優作がヨコハマbjブルースでとりいれたかったにちがいないbl要素。本作。太陽がいっぱいの翻案でもある。主要男女四人全員。少年少女顔。の薄気味悪さ。西村晃も美少年。濃厚な生々しい大人の男女の性というよりピーターパンシンドローム的なガラスの同性愛臭が霧に充満。音楽も一部怪奇大作戦そのものなバイオリン高音のところがあって不気味。

2024年12月30日月曜日

PERFECT DAYS 2023

専用車両でのパトロール。tttユニフォーム。なにやら特撮映画の防衛隊のような重装備。そしてハードボイルドにきまったルーチン。複雑なトイレ機能の点検ルーチンがすごい。マイティ号か。轟天号か。これはブレードランナーなポストコロナディストピアが舞台のサイバーパンク映画なのか。そこはかとない江戸のかおりがよい。役所主演だからといって。いつものワケアリ過去人物とはかぎらない。身をやつした忍者か剣豪か宇宙からのヒーローかもしれぬ。小津な感じも能というより落語。しかしサニタリー企業案件の缶コーヒーcmのような映画で東京画の頃ならいざ知らずポストコロナ時代だとチト古風。自分はこれをおもいっきり古く脳内変換し時代劇として観たい。あとハードボイルド映画のよいところは。寅さんも。ボギーも。食べ物飲み物が美味そうなところ。あと本作ではカセットをいとおしそうにマガジンに装てんするところ。

Cloudクラウド(2024)

回路と同じくインターネットの世界にとりこまれる恐怖を描いたインターネットホラー。そんなジャンルがあるかどうかだが回路と本作はそうとしかいいようがない。時代が変わっているので両サブカルおたく秋葉系主人公のインターネットとのかかわり方も違っている。黎明期の大学インターネット研究者から爛熟期のオークションサイト転売ヤー。舞台はシャイニングよろしく人里離れた広い家。広いけど密室これミステリーやホラーには不可欠。あとストーリーが破綻するは。ナンデモ不条理アリの難解になりがちだは。そんなフィルムノワールだが。ファムファタールの死で完結する一種の奇形ラブストーリーである事がよくわかる。フィルムノワール。今の時代に禁酒法時代のギャングや探偵にリアリティを持たせドンパチさせるには。暗黒街をネット社会へと置き換える他ない。あとタイトルのcloudってアシスタントくんの所属する謎組織その名称かな。ラスボスは量子もつれから自然発生した実体の無い正義のaiで世界を浄化しようとしてるとか。

2024年12月13日金曜日

怪物2023

せっかく新感覚のbl映画なんだからイヤミス社会派胸糞に迂回せず。ストレートに最初から少年美全開でいくべきだった。真夜中のカーボーイやフレンズがあったじゃないか。少年二人は魅力がないわけではない。出番がすくなすぎて。感情移入対象にまで観客の内面で熟さないうちにおわってしまっている。金八二部の加藤と松浦みたいにアイドルビジネス。社会現象にまでひろげすぎて役をこえた子役の実人生の一部をそぐようなことさえしなければ。続編とか。この路線。この監督作で。みてみたい。なにより音楽を世界のサカモトで。戦メリといいblとの好相性。冒頭の爆撃のようなvfx。これは禁じられた遊びのような反戦戦争映画で今現在が子供にとって辛すぎる戦時下だということ。特に小児性愛やlgbtをかかえた子供。ある意味。湖の畔だし火垂るの墓の実写版でもある。

2024年11月14日木曜日

ゴジラ1954

ゴジラの吐いたそれは建物の上に粉雪のようにそっとふりかかる。そう霧のようにゆっくり降り積もる感じだ。けれど少し間をおいてカッと燃え上がる。911フクシマ冷却水が干上がった際の燃料プールの燃料棒。その崩壊熱の凄さを実感させる。同時にあの感じは怪奇大作戦呪いの壺のリュート物質での本堂炎上そのものでもある。いかにも放射性物質事象という感じがして。とっても怖い。

2024年11月9日土曜日

サイコ2前作から二十年以上の続編1983年製作

中盤。人間というよりもはや建物が主役。20年の薄汚れた劣化が効果を深めている。それらがしっかりと再利用されレベッカなどのようなゴシックロマンス映画それもメタにリアルなものとしてもはや立派に成立している。逆に内容こんなロマンチックな感じは前作には微塵もなく面喰らうくらい新鮮。それどころかモーテルと母屋が繋がっているような錯覚さえあって空間がねじれたポストモダンsfのようでもある。いやもしかしたら母屋の覗き穴はデジタルディスプレイでモーテルの監視カメラ映像がそこから見えていたりするのか。これなんぞ80年代スパイ映画っぽくもあり更に新鮮。これに先立つ今作前半ノーマンの出所受刑者のようなズタボロ感だが。男臭く土埃立ちそうなアメリカンロードムービーしててそこがしっかり前作の前半とシンクロし同じくハードにフィルムノワールしてて良かった。問題は後半だ。前作はノーマン単独のシンプルなサイキックホラーだったが今作はエイリアン2の如く今度は戦争だと言わんばかりの誰もがサイコパスってか状態で。超能力者バトルロイヤルならぬサイコパスたちによるサイキックバトルロイヤルのカオスと化している。精神科医なんかキャリーばりの念動力で念入りに何度もころされるし。ラストでは中盤ロマンスした相手メアリーの死の復讐も果たし全てに勝利するノーマン。モーテルの看板に灯を入れ。母の為の母屋の暖房にも石炭をくべ。実母の影を映す窓の母屋を背にモーテルへと向かう宗教儀式めいたシルエット。そうもはや純愛一直線生涯素人童貞貫くフランケンシュタイン系不死身ゴシックモンスター。サイコキラーハンターな治療者や模倣犯なんか寄せ付けもしない近代的価値観がナンボのもんじゃいな筋金入り完全無欠の大元祖サイコパスマシーンノーマンベイツってば素直に無茶苦茶カッコ良い。完全にマーベルコミックのダークヒーロー。聖なる邪神の剣の特注キッチンナイフを手にディズニーホーンテッドマンション仕様の空飛ぶモーテルそのコックピットに乗り込んでアベンジャーズ入りだ。料理の腕もあげサンドイッチも前作より美味しそう。

2024年11月6日水曜日

シャイニング1980年製作の映画

メチャクチャ広い空間なんだけど閉じ込められるような感じは時間にまで影響しタイム無限ループな感じになる。そして退屈から徐々に見ているこちらまでもが狂っていきそう。外部ではなく内部すべてが敵に見えるように仕組まれる。このタイプの恐怖は言ってしまえば管理社会ディストピアと同質の物と言える。時計じかけや2001年などにも存在したテイストだ。つまり何物かに呪われているとか支配されているような感じ。墓地に建てられた山小屋。インディアンの呪い。どこか現状の今の日本やアメリカを思わせられる。一世代どころか輪廻転生末代までナニかに管理されていきそうな終末感閉塞感なところが2001年宇宙の旅っぽい。

2024年11月3日日曜日

フランケンシュタインの花嫁1935年ユニバーサル製作アメリカ映画

盲老人との別れからのアメリカンロードムービーな旅路。その果てでのたどりついた古代遺跡のような共同墳墓。地下埋葬施設の死体との遭遇シーンは最高にゴシックしててうつくしくよかった。その直後に登場の詐欺師のような新博士。彼がメフィストなら旧博士はファウストで。怪物にとっては確執いろいろあったがやはり旧博士こそがいとしかったのであろう。結構かんがえさせられるふかくヒューマンなラストにおもわず感涙。怪物の人間的成長がすばらしく。前作が生粋のホラーなら今作。当初自分パロディコメディっぽくかんじてしまったのがはずかしいくらいじつに商業監督をこえた孤高のこの名監督の魂がこもった芸術的感動名作だった。

2024年11月1日金曜日

フランケンシュタイン1931米ユニバーサル映画

市長と男爵の関係に地方なんだけど産学一体大学学園都市として発展した村の複雑な代々人間関係や抑圧的な権力関係が反映しているようで変に今風で良い。ある意味郊外ディストピアものである。美術セットもそれに合わせてドラキュラ城が古い因襲の残る自然深いゴシックな感じの古城なのに対してこのフランケンシュタインの実験塔は要塞か工場か刑務所のようで周囲の山も公害で荒れ果てたかのような奇岩だらけで無機的でさえある。現代の遺伝子工学やコンピューターサイエンスや原子力で発展の地方工場城下町に逃げ込んだ逃亡殺人犯の追跡サスペンスとかにも応用出来そうだ。そう。地方都市の出来の良いオボッチャマオタクがターミネーターな殺人マシーンを創造してしまったのだ。やばいことにかわりはない。以下ちょいネタバレ。勧善懲悪西部劇のようにマジにつくられた軽薄ハッピーエンドだとしてもホラーとして今みるとどうしても被抑圧民群衆ヒステリーとか地方腐敗政治とかが透けて皮肉で曖昧で不条理作品にみえよけいこわい。

2024年10月31日木曜日

サイコ1960米

前半はあきらかにフィルムノワールだがなかなか後半もスタイリッシュなフィルムノワールとしてじゅうぶんみれる。ジョンギャヴィンとアンソニーパーキンスが対峙するシーンなどはかたや田舎の若者の典型的ステレオタイプオールドスタイルキャラで。ひょんなであいの都会の女をカラダでトリコにするようなカウボーイ型セックスマッチョ。そんな男と碇シンジのようなイマドキ地方少年の屈折しまくったマザコンひきこもりオタクとっちゃん坊やがファムファタール悪女ジャネットリーへのおもいをぶつけあう。完全無欠フィルムノワール大傑作作品としての本作のもっとももりあがるシーン。

2024年10月29日火曜日

セクシー地帯ライン

1961年製作の映画。ライン地帯シリーズ1950年代末和製フィルムノワールシリーズその第4弾。敵のアジトが戦前の古ビルで地下の物置からの脱出というのがいい。おもくかたいあかずの扉を解錠できたとおもったら逃走経路定番の下水道ならぬ護岸架橋工事現場で足場の組み方が迷路状態。巨大木製ジャングルジムでのチェイスシーンは当時のフィルムならではのスリリングさか。見事な昭和復興期都市空間迷宮感覚。時も深夜。終電後はひとっこひとりいなくなってゴーストタウンになる当時の東京。見事な時間迷宮の魔都だった。だから闇のなかつまりオトナノジカンいろんな悪や魑魅魍魎が跋扈できたのだ。正義側で警察以外ねないでおきているのはバタヤ横丁の戦災孤児くらい。そんな子供が解決の鍵として大活躍の大団円。

2024年10月27日日曜日

郵便配達は二度ベルを鳴らす1946年の映画

沖への漂流覚悟の自殺行為そのシーンでの水平線。何時なのか何処なのかsfチック。人工ホリゾントの空と人工プールの海面それら組み合わせが醸す奇妙な異界感。沖の潮に流され遠くの海岸に泳ぎ着いてしまった為に服や車を置いた所までボロボロになって歩いて戻ったんだろう。駆け落ちに次ぐ二度目も大冒険旅行だ。そのズタボロな結末。クライマックスのニック殺害パート。死後も永遠に山中に木霊し続けるニック最期の声。ラスト。ボルトが剥き出しのこれまたsfチックな留置場での禅的な独白。

2024年10月24日木曜日

バルカン超特急1938年イギリス

戦前ロンドン期ヒッチコックのバルカン超特急だが。ゲスなクラリネットふき。実は名探偵だったり。ただの狂言まわしかコメディリリーフかとおもったクリケットずきの凸凹コンビ。ウエスタンアクションに登場しそうなまさかの義賊ヒーロー兄弟だったり。この国境のくらく霧ふかい山中での人知れずの銃撃戦そのひんやりとした雰囲気がすきだ。さらに暗黒度をたかめるくろいハイヒールをはいた黒衣の修道女姿の女スパイ。最後は命がけの善意にめざめ見事なファムファタールぶり。ミニチュア特撮もありやっぱり本作はヒッチコック作品というより素敵b級フィルムノワールアクションとしたい。

2024年10月22日火曜日

悪魔のいけにえ1974アメリカ映画

誰もいない森の大樹の倒れた音はどんな音か。それと同じで。その芸術に触れた者は皆その芸術家によって殺される。そんな禅問答のような形而上芸術。それは存在したと言えるのだろうか。レザーフェイスはそんな芸術をつくる芸術家だ。その芸術品の数々がこの映画には映り込んでいる。それこそが本作の最大の価値である。本来誰も絶対見れない物が映っているのだ。ホラーではない。というよりゴダールのアルファヴィルの手法で撮られたエイリアンに劣らない暗黒アクション宇宙sfである。すべてが火星での出来事。川は干上がっているし月は地球の月ではない。終始唸りを上げるあのガソリン発電機はタダモノではない。電気ばかりか大気をも発生させているはず。アメリカのテキサスの田舎宇宙はどこまでもひろがっているのだ。

2024年10月21日月曜日

地獄のサブウェイ1972イギリス

夜の駅前ぐらいしかオープン空間があらわれない。あとは地下鉄ホーム。パブ。要人宅と徹底的に閉鎖空間で進む。モンスターアジト。モンスターがレザーフェイスほどの天才美術家ではないのでそんなに芸術的ゴシック迷宮ダンジョンしてないが。そのぶんカメラ目線での観せ方がとても粘着質でゴシックなので独特の荘厳さが醸し出されている。刑事部屋。窓から時折垣間みれる霧のロンドンが本作の物悲しい淋しげなムードを一層かりたてる。どこか続猿の惑星に似た設定。

2024年10月19日土曜日

ヴァイラス1999アメリカ

宇宙ステーションに積まれたaiが暴走。通信中だった海上観測船のコンピューターにウイルスとしてプログラムが侵入。乗組員を防火装置誤作動で窒息死させそれら死体にチップを埋め込みゾンビ化するとワイファイ電波で操った。これ一種のサイボーグ。改造人間は不気味であってこそナンボ。ここにこそ仮面ライダーのダークな魅力もあると再認。さて本作正味ゾンビ映画でそのサブジャンルの電子ゾンビ映画だった。ウルトラセブン侵略する死者たちと並べると本作かがやく。いやいやもしかしたら本来ゾンビとは元々すべからくaiだったのではとさえ思わされる。あのロメロゾンビで恒星や衛星の爆発が発端とあったがあれは異星人の作った人工衛星や宇宙ステーションの爆発だったのでは。

2024年10月17日木曜日

世にも怪奇な物語1967年製作の映画

ゴダールもトリフォーもsfをてがけている。パゾリーニやアントニオーニはどうだろうか。パゾリーニはほぼすべてホラーかって感じだしアントニオーニ砂丘はトンデモsfだ笑。フェリーニにはフジ隊員ばりの巨大女登場のsfがある。おなじようにオムニバスのなかのひとつとしてだが。おなじようにこれもオムニバスのなかのひとつでsfといってしまってもよいだろう。悪魔の首飾りポーが原作だが現代モノいや近未来ディストピアsfにしてしまっている。空港のテレインフォメーション装置におどろかされる。そのデザインたるや円谷作品かよとおもったほどだ。まるで恐怖劇場アンバランスとかで円谷一がてがけたかのようなしあがり。わが幻の円谷一版悪魔の首飾り。だって円谷一といえばスポーツカー。ウルトラqクモ男爵と怪奇大作戦吸血地獄のしあがりから想像すると類似感大。テレンススタンプがわりはもちろん岸田森で。

2024年10月13日日曜日

新猿の惑星

猿惑後期三部作の記念すべき第一作。忘れられがちだが後期があってこそ猿惑は伝説となったのだ。いかにもなアメリカンニューシネマずたぼろテイスト真夜中のカーボーイのようなヤルセナサの本作。続く征服はゾンビ79を完全にサキドリ。続く最後は80年代のウォーリアーズ浜省な郊外地方都市ストリートギャング感覚をサキドリ。後期猿惑シリーズ。sfとされがちだが実は猿と人との小気味良いアクションシリーズ。第一作をオールドウェーブロックだとすると第二作はパンクロック。第三作以後はニューウェーブロックに重なるのだ。ロメロゾンビシリーズはそれで大成功したのだ。ゾンビ映画なるジャンルを確立した。sfとしての考証などどうでもよいのだ。21世紀。猿惑ニュージェネレーション物もそれをおもいだしてほしい。そうすればゾンビ物に負けない未来がある。ジャンル映画としての猿映画の確立をめざさなくては本作に申し訳が立たない。

2024年10月12日土曜日

続猿の惑星1970アメリカ映画

猿惑シリーズ。頭こんがらがる円環構造。悪夢のような今の時間軸は後に書き換えられ別の少し救いのある時間軸へ。第一作のいかにも時代遅れな冷戦下旧ハリウッド活劇テイストも。本第二作の英国怪奇映画テイストもなくなり。モダンなニューシネマ風後期三部の新シリーズが次回から始まるのだ。前期二部作の特にこの続のトンデモさはぶっ飛んでいる。とかくパート2物は超名作かトンデモ作にわかれがち。あのゴッドファーザー2も名作とされがちだが一歩まちがうとトンデモ作だ。本作。前作のような娯楽sf大作性は皆無で。70年代ハマープロダクションなエログロ怪奇映画テイストに成り下がっている。でもそこが愛らしい。

2024年10月10日木曜日

遊星王子NTV1958年11月11日1959年9月4日

宇宙人ヒーローというより善のインベーダーというかんじで。異星人としてのミステリアスさが前面にでていて。特に初期回。仮面ライダーxのように。アクションというよりスパイ的活躍。というか暗躍がメイン。笑。でダークさシュールさが今の時代肌感覚に一周半まわってさきどって。合ってしまってる。

2024年10月9日水曜日

犬神家の一族

石坂浩二を主演として観ては面白くない。あくまでも狂言回し。本作は探偵ミステリーではないのだ。あおい輝彦一人二役主演のダークファンタジー。等身大サンダ対ガイラ。元はフランケンシュタインのような正義だった者が細胞分裂。一方は顔が傷ついた事で心まで病んでしまいの復讐鬼ダークヒーロー。一方はそれを押し留めようとする無力な母思いシンジな純愛弱々ヒーロー。その葛藤の物語と捉えた方が断然面白い。前半。刷り替わりモンスターとして人工の顔を着けて屋敷に黒塗りハイヤーで潜り込むあたりのあおい輝彦の重厚なダークヒーローっぷりは本当に素晴らしい。ノートルダムの傴男オペラ座の怪人ばりのゴシック感もある。短いシーンだが造顔師はまるで怪物を作ってしまった東宝特撮モノの不気味なマッドサイエンティスト。のようでマサに研究所でのモンスター誕生をおもわせるシーン。後半。廃屋はレジスタンス潜伏基地か。ってな感じで正義のスケキヨが母や恋人の窮地に馳せ参じるのもカッコイイ感じ。だが。前半には敵わない。でもそれで良いのだ。ベトナム帰りならぬビルマ帰りの。タクシードライバーのような戦争での傷負いダークヒーローストーリーなのだから。この素晴らしい原作をもっとも双生児ダークヒーローストーリーらしくしたのはやはり本角川映画版だろうか。ドラマ化や他の映画化も片っ端から見直したくなった。とにかくスケキヨいやアオヌマシズマの狂気のアンチヒーローぶりはダークヒーローファンタジーにふさわしい。元々はスケキヨと同じチョイダメなイイ奴だったんだろうが。その顔。その仮面。その声。そのフテブテシサ。その死体のブザマサまで全て超ワルでカッコイイ。

2024年10月8日火曜日

にっぽん昆虫記1963日活

もはやこれでもかってくらいにあがっているアマプラのせいで見放題無料群小日活ノワールファンいや中毒に堕した筆者には本作。かつてあれほど信者だった今村昌平が作家的芸術映画っぽくみれなくなっていると実感。後半のカルト宗教からのコールガール組織の特捜最前線かよな刑事ドラマっぽい件ばかりが魅力的にみえる。ようになってしまった。ただの家政婦はみた的な群小フィルムノワールの一遍にすぎない。それはさびしいことかもしれない。芸術家としての脂分が抜けて枯れた職人監督の味だけ。でもその出涸らしの味がなんともいえない。

2024年10月7日月曜日

ガメラ対大悪獣ギロン1969大映

不良女子学園に子供二人が迷い混んでしまったような話。閉鎖空間感密室感が最高。恐ろしい学園の飼育室には怪獣までいる。

2024年10月6日日曜日

地獄1960中川信夫

本作はノストラダムスの大予言や世界大戦争と同じく。人間の滅亡を描いた宗教映画である。ジョンヒューストンの天地創造のような3本のオムニバス。前半30分は昼メロか韓国ドラマかはたまたカフカかヒッチコック作品のような巻き込まれ型不幸ジェットコースター不条理ドラマ。主人公はまるでヱヴァンゲリヲンのシンジのように悩みに悩む。中盤30分。主人公は堕落。残り少ない人類が集う汚染スラム地区にまで落ちていく。そこでは仁義なき戦いさながらの愚かな最終頂上戦争が繰り広げられるが結局。共倒れと環境汚染での人類絶滅が描かれる。文字通りのスラムで。悪徳刑事。悪徳新聞記者。悪徳医師。悪徳介護業者。悪徳食品納入業者というように環境どころか組織も精神もすべてが腐敗しており犯罪者も流れ着く場末。果ては河上に謎の見えない巨大公害工場まで。終盤の残り40分は滅亡後のメタ異次元世界で。これまたエヴァンゲリオンの学園ドラマパートのような教室室内劇なメタフィクションテイスト。旧世界の回収と新世界への模索。選ばれし者その新人類への進化転生を形而上哲学的台詞を交えスペクタクルに描いている。だがメタだからチープだ。だから怪奇映画を観るように観てはならない。終盤に向かう程。盛り下がるばかりである。特に終盤は特撮初心者には理解困難。特撮マニアでこそ味わえる上級者向きの自主製作特撮風。なのである。あくまでも無印東宝の怪獣映画やパニック映画の正統派を経て。だ。その美術センスや編集テクニックをこそ。そしてその特撮的エンディングをこそあくまでも哲学的寓話として楽しむことができる。本作はスーパージャイアンツなどの新東宝特撮sfその究極の到達点に他ならない。そう。究極のダークヒーロー閻魔大魔王その人をデビルマンやウルトラマンの登場のようにワクワクして待つべき映画なのだ。

2024年10月5日土曜日

ナイトオブザリビングデッド1968アメリカ

まさに仁義なき戦いのようなsf集団抗争劇。立て籠った家はまるで都市のように広い。恐怖と謎に満ちた二階。女の独り暮らし。か。そして地下室の地下グループのその唐突な登場など続猿の惑星などは勉強すべき点が。拠点は一階か地下室かのポリティカルディスカッションも素晴らしい。クライマックスは一時敵対解消で二階と一階のチームプレーで一瞬だが砦か要塞のおもむきに。ラストでの地下室の使い方その神話的スケール感。まさにまさに教科書というか密室ゾンビ劇の原点にして聖典。

2024年10月1日火曜日

黒蜥蜴1968東映

東映特撮のサイケでゴシックなダークルーツ。仮面ライダーや江戸川乱歩シリーズ明智小五郎への布石。ショッカー女幹部黒蜥蜴。怪人剥製男。いや。もしかしたら影のラスボス的ショッカー大首領か。三島由紀夫。秘密基地感も最高。なにより数ある。純愛映画。の感動名作の一つ。

2024年7月17日水曜日

私はゾンビと歩いた!(1943)

絵画に美人画なるジャンルあるように美人とはいいもので。芸術とくに映画においては。ひろく応用がきく。たとえば小美人。モスラにおけるインファント島の。恋人の。南くんの。人造美人は星新一だし。そして死美人。ポーの小説でおなじみだ。いかにもボードレールなどの世紀末詩人がこのみそうな題材。ベッドによこたわる美人をゆびさし医者がこういうだけでもう映画になってしまう。彼女は死体です。でも不思議なことに。いきているのです。さらに。彼女は生体です。でも生命反応はなくしんでいるのです。ターナーにヒッチコックの偏執とにかく美人をさらに美人にみせるノワールなカメラもはや変態的。文学では谷崎潤一郎の筆か。

2024年4月24日水曜日

ぐるぐるメダマン#28地獄の鬼が迎えに来るゾー

最終回エンディングテーマにかさなる嵐の雨に身をさらす姿それは。まるで雨の路上を裸足でたちあがりあるきだす社会派女性自立映画の主人公。本作は帰ってきたウルトラマン最終回同様。公害や交通戦争に負けるなと。当時の子供達への応援歌となっている。上原正三のペシミスティックなディストピア感とは違って。ウルトラマンエースへの布石。


2024年4月3日水曜日

生きる1952黒澤明監督作品

最高度の濃度密度強度をもつポリティカルフィクション映画。前半はカフカのような変身不条理ロードムービーで無声映画メイクとノワールな表現主義技法が圧倒的。後半は真のポリティカルフィクションみるなら本作の志村喬と日本沈没の丹波哲郎はたまた仮面ライダー第二クールでショッカー支配に喘ぐ日本を救いにアメリカからやって来た千葉治郎扮するfbi捜査官滝和也かれらがいまのディストピアな現実にいてくれたらとつよくつよくおもわずにはいられない。帰ってきたウルトラマン仮面ライダーにつらなる真の義賊変身ヒーロー像がここに。