石坂浩二を主演として観ては面白くない。あくまでも狂言回し。本作は探偵ミステリーではないのだ。あおい輝彦一人二役主演のダークファンタジー。等身大サンダ対ガイラ。元はフランケンシュタインのような正義だった者が細胞分裂。一方は顔が傷ついた事で心まで病んでしまいの復讐鬼ダークヒーロー。一方はそれを押し留めようとする無力な母思いシンジな純愛弱々ヒーロー。その葛藤の物語と捉えた方が断然面白い。前半。刷り替わりモンスターとして人工の顔を着けて屋敷に黒塗りハイヤーで潜り込むあたりのあおい輝彦の重厚なダークヒーローっぷりは本当に素晴らしい。ノートルダムの傴男オペラ座の怪人ばりのゴシック感もある。短いシーンだが造顔師はまるで怪物を作ってしまった東宝特撮モノの不気味なマッドサイエンティスト。のようでマサに研究所でのモンスター誕生をおもわせるシーン。後半。廃屋はレジスタンス潜伏基地か。ってな感じで正義のスケキヨが母や恋人の窮地に馳せ参じるのもカッコイイ感じ。だが。前半には敵わない。でもそれで良いのだ。ベトナム帰りならぬビルマ帰りの。タクシードライバーのような戦争での傷負いダークヒーローストーリーなのだから。この素晴らしい原作をもっとも双生児ダークヒーローストーリーらしくしたのはやはり本角川映画版だろうか。ドラマ化や他の映画化も片っ端から見直したくなった。とにかくスケキヨいやアオヌマシズマの狂気のアンチヒーローぶりはダークヒーローファンタジーにふさわしい。元々はスケキヨと同じチョイダメなイイ奴だったんだろうが。その顔。その仮面。その声。そのフテブテシサ。その死体のブザマサまで全て超ワルでカッコイイ。
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