2024年10月6日日曜日

地獄1960中川信夫

本作はノストラダムスの大予言や世界大戦争と同じく。人間の滅亡を描いた宗教映画である。ジョンヒューストンの天地創造のような3本のオムニバス。前半30分は昼メロか韓国ドラマかはたまたカフカかヒッチコック作品のような巻き込まれ型不幸ジェットコースター不条理ドラマ。主人公はまるでヱヴァンゲリヲンのシンジのように悩みに悩む。中盤30分。主人公は堕落。残り少ない人類が集う汚染スラム地区にまで落ちていく。そこでは仁義なき戦いさながらの愚かな最終頂上戦争が繰り広げられるが結局。共倒れと環境汚染での人類絶滅が描かれる。文字通りのスラムで。悪徳刑事。悪徳新聞記者。悪徳医師。悪徳介護業者。悪徳食品納入業者というように環境どころか組織も精神もすべてが腐敗しており犯罪者も流れ着く場末。果ては河上に謎の見えない巨大公害工場まで。終盤の残り40分は滅亡後のメタ異次元世界で。これまたエヴァンゲリオンの学園ドラマパートのような教室室内劇なメタフィクションテイスト。旧世界の回収と新世界への模索。選ばれし者その新人類への進化転生を形而上哲学的台詞を交えスペクタクルに描いている。だがメタだからチープだ。だから怪奇映画を観るように観てはならない。終盤に向かう程。盛り下がるばかりである。特に終盤は特撮初心者には理解困難。特撮マニアでこそ味わえる上級者向きの自主製作特撮風。なのである。あくまでも無印東宝の怪獣映画やパニック映画の正統派を経て。だ。その美術センスや編集テクニックをこそ。そしてその特撮的エンディングをこそあくまでも哲学的寓話として楽しむことができる。本作はスーパージャイアンツなどの新東宝特撮sfその究極の到達点に他ならない。そう。究極のダークヒーロー閻魔大魔王その人をデビルマンやウルトラマンの登場のようにワクワクして待つべき映画なのだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿