2019年2月5日火曜日

仁義なき戦い代理戦争

仁義なきというより仁義がまるで亡霊とかした世界がえがかれている。死体をみて嘔吐したりぶったぎられた手首のアップがあったり冒頭からもはやホラーである。仁義の墓場というタイトルがあるが本作はさながら仁義の亡霊。巨大化しすぎた怪物のような組織の影にただただみながおそれおののいているばかり。まるで日本沈没くしくも73年同年制作映画の後半のよう。全編くらい密室でたがいに怪談話をしあってこわがらせあっている任侠百物語。もしくはキューバクライシスばりのポリティカルフィクション。実際突然停電したりもする。とりかわされた盃関係ももはや複雑怪奇すぎてなにがなにやらわからなくなっている。舞台の広島がカフカの世界のような不条理さでみたされていく。女もすべて悪女いや魔女にみえる。襲撃現場の野次馬のなかうつりこむ死体をとおまきにしたたずむ少女などこわすぎてこわすぎて。ねとられた嫉妬からうらぎられなにがなにやらわからないうちに蜂の巣にされ骨壺ごと粉々にひきつぶされるそれも母親の目の前で。これでは暗黒不条理世界にまきこまれたカフカ作品の主人公である。際限なき暴力そして戦争というものが人道上どうのこうのではなくただただひたすらにおそろしいものだということをつたえてあまりある。わらってやがて背筋つめたく。本作での渡瀬恒彦はどこかアンソニーパーキンスみたいでホント名演。

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