2019年1月11日金曜日

かまいたち

どうやら牧主演回とおもうから本作は難解なのであって。じつは本作。的矢所長主演回なのでは。それも牧のエヴァ的苦悩ではなく所長の鉄人28号的大活躍。それがストレートにえがかれているようにおもう。所長のかたる少年時代のかまいたち騒動のくだりなんかあまりにもしんにせまりすぎているからだ。どこか村の長老が村人たちへと伝説の妖怪ばなしでもしているようなそんな妙なスケール感と深淵さがある。じっさい本作での所長は出番も口数もすくないがその表情でじつにおおくのことをかたっている。まるでゴジラのセリザワ博士のようなかっこよさだ。所長主演回といえばこうもり男の回もそう。じつにシュールな回であった。この的矢所長という人物像ホントつかみどころがない。仙人というか。モーゼというか。そんな所長が巫女じみたサーボーをしたがえてかまいたちとの勝負にでるのだ。そのようにかんがえると。一般にいわれている動機なき殺人などという本作の社会派推理的解釈がじつは相当に偏狭であることがわかる。そう。宗教殺人。たとえばカミュの異邦人とか。そうした神学的旧約的背景。それくらい原罪と実存のふかい闇をかかえた事件。そっちのほうこそがよっぽど理にかなっている。どうだろうか。わかい女ばかりをそれもおなじ橋のうえでバラバラにしてころす。まるで古代インカとかのあらぶる神への供物祭儀のようではないか。そうなるとあのアロワナのえさやりショーのシーン。戦慄ものでさえある。こうしたゴジラのような暗黒神不条理絶対巨悪にささやかだが抵抗せんとする確固たるsri精神。あの。つり人形プラスコントローラーと。そしてそれをあやつり勝利する所長。その表情。ダークサイドをしっかりみすえみずからはダークサイドギリギリでふみとどまる。そのことの大切さ。それをあの表情はおしえていやしないだろうか。あわてふためく野村はもちろん。とまどいの表情の牧やいかりばかりな町田警部。すくなくともかれらよりあきらかに力づよい。さすが所長。

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