2018年10月13日土曜日

眠狂四郎 人肌蜘蛛

烏だらけの不気味な森をぬけ母の墓まいりにと寒村をおとずれる狂四郎。墓守の老人はかたる。里はあれはて民は奴隷化したと。その領主の居城。まさに硫黄谷の底ふかく崖にはりつくドラキュラ城かアッシャー家というおもむき。すむのは近親相姦めいた兄妹。兄はちょっとマッドサイエンティストな狂気の毒物マニア。界隈は毒か硫黄泉に汚染され。そのせいか気の毒にも妹のほうは血をみないと頭痛がするという謎の業病をやんでいる。まるでフランケンシュタインとあわれな女吸血鬼コンビである。ここまで脇が強烈だともはや主役はくわれ単独作番外編のおもむき。独立した時代吸血鬼ものとしてたのしめる。かなしい兄と妹の悲恋心中物語としてもかなり重厚だ。狂四郎は三角関係エロ相手役の狂言まわしへとよい意味でなりさがっている。本来のダークヒーロー大活躍な時代劇。本作に期待しないほうがよい。あくまでも怪奇映画としてたのしんだほうがよい。けれどただの怪奇でおわらないところが本作の。本シリーズの。市川雷蔵のすごさである。強烈なニヒリズムがすべてをのみこみ後味のわるさをすべてラスト一瞬のクールネスでふきとばす。ネタバレになるので一言。江戸からの隠密が鍵。

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