2018年9月30日日曜日

吸血地獄

怪奇大作戦中のとにかく異色回。ニーナというドラキュラ家の末裔をおうドキュメンタリー番組のよう。もしくはワイドショーの再現フィルムのよう。だからかドラマとしてはスカスカ。最後のナレーションがすべてといってよいようなやすっぽいつくり。まるでワイドショーの司会者のようなくちぶりでニーナの義母にインタビューする的矢所長。それがまたよくにあっているのだ。町田警部も途中降板し今回だけの代役へとバトンタッチ。牧と野村にいたってはもはや別人役で今回はただのちゃらい旅の若者。岸田森のそんな演技とニーナのとってつけたような吸血鬼姿は今回の尋常ならざる異色回ぶりをものがたると同時に見事に成立させてしまっている。ということで。こうしたやすっぽいつくりだからこそなのだろうか。ドラキュラなんて時代おくれのナンセンス。その末裔にいたってはただそのへんの不良少女の末路とおなじといわんばかりなのだ。だからよけいに末裔たる者のさびしきフェードアウトがかなしくきわだつ。さらにそれをアンチゴシック怪奇なモダン科学犯罪系怪奇ドラマの一本として放送するという皮肉と悪意。暗黒世界の高貴な血統も現代ではわすれさられるばかりなのか。こうした皮肉なテイストは宇宙時代の現代にあらわれた時代おくれなサンタクロースの怪人という氷の死刑台の回にもみられたようにおもう。そんなふうにして怪奇大作戦。異形の怪人をとりあげた回はやけにものがなしい。燐光人間とか。水棲人間とか。で。そのなかでもこの吸血鬼の末裔の最期はきわだっていて筆者とにかく偏愛の回。そういえば映画マタンゴもラストシーン。大東京。真夜中のネオンとボーリング工事音をもってして。暗黒のキノコ怪談をただの一狂人の戯言と一笑にふするような。皮肉全開でおわらせていたっけ。

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