2018年9月26日水曜日

マタンゴ

とにかく本作を最大に魅力的なものとしているのはなんといっても舞台となる廃船だろう。その閉鎖空間宇宙はみごとなもので本作全編を気品ある極上の古典的ゴシックホラーたらしめもうこの時点であのエイリアン同等もしくはそれ以上の名作を約束されたようなものである。きりたった崖にかこまれその裏にかくされたようになって広大にひろがる沼か湿地帯のような入江。そこに累々とよこたわり半身を泥にしずめているそこは船の墓場。船全体気色わるい黴がそのすべてをおおい鏡はそのすべてを撤去させられてしまっている。むせかえるような亜熱帯。鏡は撤去されるまでもなくつねにあたりにたちこめるその生ぬるい霧がいつもその表面をくもらせるのでどうせつかいものにさえならなかったであろう。なんと不気味なことであろう。なんとオッサンばかりの都会の安サウナのような息さえつまりそうな鬱陶しいその気配なんだろう。このダークコズミックな闇の力は半端このうえなくその極彩色の人工都市夜景とあわせ淫夢のようで幻覚のようで疾走する東京の電波ディストピア近未来sfとしてさえも本作そのかたりくちふくめ成立しているその事実そのこと筆者もはやホント舌をまくしかない。

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