2018年9月24日月曜日

燃えろ栄光

本作。典型的な悪徳プロモーターがふたりもでてくるしゴシップあさりの記者たちもうじゃうじゃ。そうカタギの人間はわれらがウルトラqレギュラー三人組のみ。ハードでソリッドなアスリート競争社会を内側からそのカケヒキにのみ焦点をしぼり極端にダークにえがく手法のいわゆる悪徳スポーツ芸能界その内幕暴露もの。ギャングの業界をえがくものが暗黒街ものとすれば。これはボクサーというまたショービジネスというやはり過酷なダークアスリート社会をえがきそこに珍獣信仰をちょっと黒魔術的にホラー風味でトッピングしたフィルムノワール作品だ。突如おきた大スキャンダル大スクープ。連戦連勝のボクシングスター選手失踪事件そりゃ八百長疑惑もおころうというもの。はてはどさまわりのピエロにまでおちぶれ。以上が大人の目でみた世界。しかしそのかげには子供の目にしかみえない世界もしっかりあって。怪獣ピーターがつなぐ元ボクシングヒーローと万城目の奇妙な男の友情があり。これがまたかっこよく。かわす気障な台詞の応酬もハードボイルドだし。公害企業のたれながす廃液ながれるドブ川になげすてられたコーラの瓶なんて。すこしづつすこしづつしずんでいく。その様子。まるで。チャンピオンの身の上だし。妖精からおそろしい公害怪獣にまで変貌させられた珍獣ピーターの身の上だ。沈黙がかがやくこのなにげないこのシーンこそ。しずかだが本作最大のクライマックスだったのではないだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿