2018年6月8日金曜日

吸血地獄

あの吸血鬼メイクはあくまでも手段であり達成でもなんでもない。光学処理され音をつけられはじめて意味をなす類のもの。だからメイクだけを静止画として無断引用しやれやりすぎだとかはまったくもってナンセンス。特定のブログを攻撃しているわけではないのであしからず。事実まず最初の登場からして稲光とのセットでその幻想効果が最大限に発揮されるよう設計されていた。鏡の前や砂浜での二重露光には無声映画的ノスタルジーさえある。ホテルがなぜあんなにローキーなのかにしてもあのメイクをバロック的グランギニョールとして最大限にホラーばえさせる意図やはり高度な映像設計の一環。あとたかい崖のうえでのロングショットも偶然にうつりこんだ感のサブリミナルな心霊写真的効果をねらってのもの。本作はあくまでも薬物による吸血鬼幻想であり吸血地獄にみたてての売血制度告発そうビデオドラッグバッドトリップムービーと大島渚な観念ドキュメンタリーの合体それこそが本作の正体。本作に内容なんかない。イリュージョンとメッセージの奔流もはやドラマのていすらなしていない。かろうじてあるとするならば無軌道な若者の自堕落な青春そのあげくの自滅ただそれだけ。ウルトラファイトの怪獣のように男女がちちくりあってわかい男ふたり牧と野村がじゃれあっているだけ。吸血鬼なんかでてくるわけがない。しかしだからこそ怪奇大作戦随一の特撮効果メインでみせきる超力技の超特別編となっている。筆者は印象だけでひっぱるという点で本作を京都買いますと双璧にみている。金城円谷の名コンビその貫禄なくしてはけっしてなしえなかった佐々木実相寺の華麗さをうけての真逆の作風でいどんだまさに黒びかりする一本。佐々木実相寺はビビったとおもう。ラストクレジットのタイトルバック映像なんか特にそう。そのレトロだが重厚なスタイリッシュさを筆者はおおいに支持したい。金城円谷コンビはとっくにウルトラqで特撮の究極をなしておりウルトラマンからはほかの演出脚本をひきはなしすでに第二期ウルトラシリーズのさきがけとなるようなこころみを開始していた。ましてやコンビ最終作である本作にいたってはもうはるかかなたの余人の理解をこえた次元にたっしている。

0 件のコメント:

コメントを投稿