2018年6月15日金曜日

解散無用

のっけからハードな。そうハードというしかない。ハードボイルドすらこえている。ただハードというしかない。ゴッドファーザーや仁義なき戦いのような実録集団抗争劇のようでもあるがさらにもっとふかい暗黒さがたちこめている。そしてその暗黒さはドラマがすすむにつれシリアスな破天荒さに。しいていうならゴッドファーザーパート3や仁義の墓場のようなそのてのもののシリーズ最終作番外作そしてついに極北にいたる。とそんなかんじか。たしかに主水の仕置シーンにはそうとうなカタルシスがある。つきさしたまま串ざし状態にして手もつかわずえぐるようにして木戸のなかにたたきこむなんてあまりみないほどのバイオレンスさだ。しかしそれでもまだちょっと暴力的な時代劇でほかにだってあるといえばいえる。そうなのだそれよりなにより本作を最高傑作たらしめているのは巳代松と鉄がもはやホラーやsfに登場するような人外なものになってしまっているところ。それも筋のとおった。大人な。旧必殺仕置人シリーズがワルがワルをしまつするテーマだったとしたら本シリーズ新必殺仕置人は本作において人外のバケモノがワルをしまつするそんなところにまでたっしている。子供むけの妖怪的バケモノではない大人の鑑賞にたえうるバケモノ。初作のゴジラのような。巳代松役の中村嘉葎雄はほぼ全編セリフがない。そうとうの登場場面がありながら拷問演技でつらぬきとおす。これはふつうのドラマでかんがえるとたしかに特殊で前衛的とすらいえる。たとえば岸田森がまったくの無セリフでとおしたファイヤーマン地球はロボットの墓場そんなかんじ。そして大八車での異形の仕置はもはや仕置ロボである。子連れ狼の乳母車の装甲車化戦車化に匹敵。つづく鉄だが。手を炎にくべられ放置されしんでいてもおかしくない状態。にげこんできた辰蔵の前にあらわれた鉄はもはやゾンビといってよい。いやゾンビよりこわい。なぜならその演出が手首のオバケそれも黒こげのそんな怪奇映画そのものな演出だからだ。そこにはもはや主水の仕置のようなカタルシスはない。先の巳代松の仕置ロボットによる仕置それと同等の特撮的おもしろさがまさっている。それはいかにも前衛的世界すらこえた虚無的世界。特撮地獄におちいった筆者みずからを自己批判させるチカラすらもっている。おもしろがってばかりでよいのかと無慈悲にもとうてくるのだ。生きるとは。悪とは。それはそのあとの主水の日常シーンで頂点にたっする。そうここでの主水はただたんに賄賂な悪徳役人ではすまないスゴミがただよっている。そうそれはもはや狂人のおもむきなのであった。ある意味必殺シリーズはここに終焉をつげたといってよい。主水の死ならぬ。発狂。で。

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