2018年5月10日木曜日

噴煙突破せよ

本作の毒ガス怪獣ケムラーだが口の中が一瞬いなびかって毒ガスが噴出されるなんてまるでアッシャー家の沼がその四次元体内に存在するかのごときシュールさ。声といい色といい形といい宇宙怪獣でもない妖怪でもない。かといってありきたりの怪獣にはないあきらかにコズミックかつゴシックホラーな雰囲気を全身にまとう名怪獣。ふとおもった。惑星ソラリス原作ではなく映画版だが。惑星全体が精神感応する海におおわれているとされている。しかし筆者おなじタルコフスキー監督作ストーカーの湿地帯のイメージにひきずられてか実はあれは前文明の科学がのこした化学物質にまみれ汚染された広大な底なし沼であり。幻覚作用をもつみえない瘴気を発生するソラリスの沼なのでは。そんなかんじで本作も。火口にできた不気味な沼から正体不明の瘴気が突然発生。まきこまれたフジ隊員。とんでもない幻覚。それがあの怪獣ケムラーだったのでは。おおきくなったりちいさくなったりフジ隊員もともと不思議の国のアリス体質。今回などはまさにねむれる森の美女で。そうウルトラqのあの悪魔ッ子のような。結論。冒頭火口におちていくリンゴもいかにも象徴的な本作。怪獣版不思議の国のアリス。見事すぎるダークファンタジーだったんじゃないだろうか。

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