2017年9月29日金曜日

吸血地獄

48時間ごとの殺人をくりかえしながら、はてへはてへとおいつめられていく、わかい二人。死体の遺棄現場にわざわざ、金竜地獄などを、えらんでいるところなどをみると、それがたとえ、まがい物の、仏像テーマパークだとしても、なんらかの宗教性をえたいが為の、あがきにみえる。にくくてころしたのではない、被害者にたいする彼等なりの、せめてものなとむらいの気もちが、いじらしい。やがて青年みずからの血を、あたえる羽目にまで、状況は悪化の一途をたどる。しかしそれさえ束の間。青年は薬物中毒者であり、その錯乱の度あいをます精神、更にはクスリづけの身体。彼女に血をあたえつづけるにしても、絶望的な限界としての、ゴールは目にみえている。そして遂には対岸の島を、しに場所としてえらび、旅だつ。ここからの件は実に荘厳で、まるでインドでの、河岸をめぐる聖地巡礼のようだ。島は、とっくに彼岸にあって、おわりなき地獄めぐりの日々の、二人がやっとたどりつけた、荒涼としたターミナルとしての、ガンジス対岸、その地なのか。よこたわる二人をあらう波音と、バロックな音楽の、アンサンブルは、いかにもゴシック的で、崇高。本作にはポストモダンな宗教の救済が、しめされているようだ、オウム的なそれと対極な。

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