2017年4月10日月曜日

妖怪・どろ人間

予想を裏切り中々切ない話だった。タイトルからもっと、妖・怪・泥・人・間だし狂暴な奴かと思ったらルックスも愛らしく出自も憎めず、ちゃっかりと我が愛するダークヒーローの一人に新たに加わってしまったではないか、その背中に木漏れ日の美しい影さえ背負い。その哀愁、よっ唐獅子牡丹。本作、柳谷寛のお巡りさんが全てを象徴していた。悪者達もただの与太者の集団かと思ったら、何か格闘術にも長けていて不気味な組織が背後にあるようで益々憎らしく、殺された泥サンゲリア男に加担したくなる。結局このお巡りさんがしっかり全員逮捕。このお巡りさん多分年取ってて居眠りなんかもするけど元々有能なので、きっと組織も摘発し潰滅してくれるだろう。そしてやはり電波銃が気にかかる。実に格好良い。銃身からアンテナさえ伸びていたりする。本作では泥人間の生前の頭のチタンに電波が反応。期せずして泥人間の正体を浮き彫りにする。もしかしたら銃から放たれた電波の影響は大きく、チタンに残る残存意識さえ目覚めさせ、無益な攻撃を止め自分を殺した男だけを追い詰めるような振る舞いにでたのかも。つまりここにきて泥人間、バクテリアの塊から真のゾンビになれた。そんな怪我の巧妙と言うよりモンスター物定番の、そんな人情味さえ溢れる、もはや男泣きレベルの銃の使われ方。実にハードボイルドで気が利いている。いやはや本作れっきとしたゾンビ物。それもかなりの逸品。

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