2018年10月22日月曜日

ウルトラマン夕陽に死す

マカロニウエスタンのような非情さが全編をおおっている。たたかいにやぶれたウルトラマンがまるでみせしめのひきまわしのような格好で鎖につながれ上空を旋回させられている。まるで必殺仕置人をみせられているようだ。全体のノリもそれっぽく敵の宇宙人の人間体も特殊部隊のようだしクライマックスも危険物輸送などととにかくハードボイルドタッチでおしとおされている。土管やプレハブの点在するぬかるみの造成地。しずみゆく夕陽。そこでまるで中学生リンチ事件のようになぶりものにされるよわよわしいウルトラマンの姿はかなしいをとおりこして陰惨ですらある。坂田兄妹の惨殺シーンも度のすぎたドキュメンタリータッチで。いきなりはなねとばすし車からつきおとすもひっかかりしばらくひきずられる。シーゴラスべムスターとの戦闘シーンはとくに印象的だ。風がふきぬける音ばかりが耳にのこりこの世のおわりそのもの。そしてなんといっても坂田一家を病院にのこしでていくときの郷の表情。顔の片側だけにあてられた照明のなかで復讐にもえた狂気にもちかい目だけがギラギラとかがやいている。直後。屋上から投身自殺のようにして変身するシーンはもう涙なくしてはみれない。

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