2018年4月12日木曜日

吸血地獄

火垂るの墓の兄妹が大人になる事をこばむかのようにして秘密基地ゴッコな防空壕跡でのオトギバナシ的生活にころがりおちるように突入する件。真夜中のカーボーイの二人にとってはユリカゴだったのか。低運賃長距離バスのせまい座席。傷だらけの天使やゲッタウェイのラストでじつはユートピアだった事が判明する。ゴミのまう夢の島。いずれも最下層自滅自閉の極だが。あらがえない何か甘美なくろいファンタジーへの萌芽が確実にみとめられる。怪奇大作戦本作の二人も若者らしいハウステンボスやディズニーランドといった場所でなく中年不倫カップルのように秘宝館めいた温泉地の観光地獄の方をえらんでいる。この低空飛行自閉したかんじ。きわめて甘美。そしてやたら不自然にくらい廊下をもつホテルはダークファンタジーの舞台として超最適。もはや宇宙のはてのダークサイド。そこへとおちこんで。なおそこでくりひろげられるのは。およそシリアスではない淫靡で下世話なドタバタ喜劇のようなsri牧と野村らとのオイカケッコ。まさにディズニーランドのアトラクションよりたのしいといわんばかり。皮肉なダークファンタジーさがみちみちている。とくに牧のハイテンションぶり。民間のドブサライのような犯罪捜査チームにはいる位しかなかった屈折した天才青年科学者像がはやくも爆発している。ドラマはいっきにクライマックスへ。離島の崖から転落する二人。またこの転落の仕方がよい。たかさにためらって足をすべらせたかのようなあっけなさブザマサ。イヌジニめいていて実にカッコイイ。おまけに二人の転生をまったく祝福する気どころかますますのろわしいものにするかのような。海面には汚染されたアカシ。ドスあかい赤潮さえ。結局何もおこらなかったんじゃないか位の無力感虚脱感。ここまで迷走汚濁もきわまると一周まわって爽快でさえある。そんな事を本作の神業演出はおしえてくれる。たしかに京都買いますのラストのたたみこむような汚濁演出もすばらしい。しかし本作はかるがるとその上をいっているとしたい。そう物語はいつの間にかセカイ系へと自閉してしまっていた。そればかりではない。そのうえやはりいつの間にかセカイその物も汚染の極にたっしてしまっていて。なにもかもがもはや終末。いや終末の予感余韻さえ存在しない。すべてがダークサイドにのみこまれていくばかり。そんなドスぐろいスペクタクルの爽快感。そこに。みる者は30分だけだが。孤独でなく連帯をみいだす。そう最下層自滅自閉のオタクまけ犬たちの暗黒大連帯。じつはこれこそが怪奇大作戦のもつ永遠最大の魅力で今やっとあばかれつつある本質なのではないだろうか。50年目の円谷金城コンビがしかけたとんでもない時限おき土産。

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