2018年2月1日木曜日

醉いどれ天使

ごみすて場に雨水がたまって沼化したのか。底なし沼がひあがってしずんでいたごみがあらわれ。それをききつけそれを目あてとし下層の者達がふきだまった結果。ハードボイルドなよごれた街ができあがったのか。そんな瘴気たちこめる妖怪のような沼こそが実は本作の主人公。まぁ都市なんて物はいつの時代にも所詮皆そうやってでき存在しつづけほろんでくはかない厚化粧の廃墟にすぎない。といえばいえるのだろう。そういえば自分もそんなsf短編を過去にかいたっけ。すてさるにはもったいない設定なので発想メモをさがしだしてみよう。たしか近未来水没した新宿西口と干潮の時にだけたちあがる東口の多国籍ブラックマーケットが舞台だったようにおもう。話をもどす。沼にたちむかうよいどれ医者。実にブラックなんとやらとかどろろな手塚治虫漫画っぽい。本作はsfである。ファンタジーである。ミフネは沼の瘴気で胸をわるくした自暴自棄のヤクザではない。ミフネは沼の瘴気でゾンビ化して沼からはいあがってきた沼にすてられていたヤクザの死体にすぎない。運命の風にただ翻弄されるだけの空虚な存在の人形が沼の瘴気で束の間の命をやどしただけのピノキオ的存在にすぎない。だからこそよいのだ。本作ゾンビ物である。だから題名に医者とうたわずファンタジーっぽく天使とうたっているのだ。とにかくミフネのゾンビメイクとゾンビ演技。それが見所。そしてとにかくあわれみとか感情移入を終始はねのけるハイテンションな怪人演技に終始するミフネが見事。本作を心地よいかわききったホラーへとしっかりと昇華してくれている。かつ千石規子がそのそんなミフネの骨をまるで黄泉の国へともちさる役目をおおせつかった不吉な魔女のような怪女優っぷりでしめくくる。見事にはまりラストもあやしい雰囲気でホラーずきの筆者は壮快きわまりない。あんみつ屋にむかう真人間二人の理性主義だけではうすっぺらい教条映画になってしまっていた危険が充分にある。スリリングなジャンルレスな一本が天に祝福され見事はじけた極上sfホラーな一本だ。絶望的な場面に陽気な郭公ワルツながれるとこなどまさにロメロゾンビのラスト。

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