2017年3月17日金曜日

京都買います

リングは、呪われた破滅のプログラムがビデオテープへと貞子の念によって書き込まれ、再生されると、その恐るべきプログラムが発動してしまうというもの。そして、その動機も貞子の想像を絶する苛酷な身の上からの、追い詰められた末の、止むに止まれぬ切羽詰まっての、もの。そう考えると、本作と霧の童話も同様な、ような気が。霧の童話は、霧つまりガスの中に幻覚成分が混入され霧そのものがスクリーンとなって被験者をバーチャルに包み込み幻惑するというもの。ただの幻惑ならよいが、どうやらリングと同じく犯人側の動機には絶望が色濃く、破滅への必然は免れようもなく、結末で事件の村は全滅するが、何か村そのものが例のガスに元々芯まで汚染されてしまっていて、村人自身が自らダムの栓的なものを開けてしまったかのよう。そして本作。最初こそ窃盗的に仏像だけが電送されるが終いには美弥子の絶望の深さが装置に乗り移ったのか、装置が暴走してしまい電送先も訳の分からない別次元とかになって人間すら無差別に電送してしまうような事態に陥り京都全体いや世界そのものが荒廃の極に至って、その中を人類最後の一人だとでもいうように牧がさすらってしまっている。ケミカルを遥かに超える究極のドラッグともいえるARの絶望カルトな自爆テロ紛いの暴走。本作と霧の童話は、それを言葉少なに先見してしまっている。

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