2016年9月23日金曜日

青い血の女

助さんものは牧カラーに染まりがちな本シリーズ怪奇大作戦の中でも、その醸し出すハードボイルドさが堪らない魅力を放っている。そう筆者は得心している。特に本作はそれが濃厚で、主人公が犯人にされ容疑者として怪我を負ったり行動を監視されたりと、ハードボイルド探偵もの定番の手法が、さらりと採り入れられている。さらに助さんの捜査中、事件に巻き込まれ非業の死を遂げる女が描かれているが、彼女は単なる通りがかりの被害者ではない。助さんと好意を交わす程にはなっていないが、本来ならばそれなりの出逢いと別れが描かれる宿命の女ファムファタール。まさにハードボイルド定番の存在で、全編ほぼ夜のシーンに煌めく刃物も、ピストルで撃ち砕かれる人形も、フィルムノワールな、私的偏愛の、極上とまではいかないが、一作に違いない。蛇足かもだが。助さんの名誉のために言っとく。額の十字絆創膏姿は、チャイナタウンのジャックニコルソンばりに、かっこいい。

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