2016年9月16日金曜日

ウルトラマン

行ったこともない土地の会ったこともない他人と或る日突然自分が入れ替わってしまう。初代ウルトラマンがそうである。ただしハヤタの場合いきなり自分の前にM78星雲の光景が広がったわけではなくどうやら意識を失っていたようだ。最終回でそれがわかる。一方ウルトラマンはその日から地球の風景の中で生活することになるわけだがどうやら彼はすでに地球のこともハヤタの内面もすべてインプットしていて驚くこともなくまた周囲を驚かせることもなくハヤタを装い生活を始める。ってなことをちょっと考えたりするとちょっと楽しい。あとカフカの変身もちょっと曲解してみる。やはりちょっと楽しい。主人公ザムザは何処か遠くに出張していて或る朝目覚めたらそこは出張先のビジネスホテルなんかではなくなっていていつの間にか我が家の自室に戻っていた。ただし我が家の自室のゴキブリとして、、、、、、、ザムザのほうはご存知例の小説のようにその後のことは運ぶので置いといて。以前帰ってきたウルトラマンは心踊るヒーローものなんかではなく不条理で物悲しい変身譚だと書いたがこういうことだ。郷秀樹はウルトラマンの超身体を得て戸惑う。問題なのはと言うか想像するだにケッサクなのは出張先のザムザの身体に憑依してしまったゴキブリのほうだ。ゴキブリはザムザや郷秀樹のように悲嘆したり動揺したりするだろうか。もしかしたら奴らはそのとんでもない環境適応能力で淡々とそれまでの日常と同じように振る舞うのではないだろうか。大変なのは周囲のビジネスホテルスタッフとかでは。突然何やらその日からひとり客室から客が姿を消したと思ったら得体の知れない巨大な人影をしたゴキブリの気配に怯えその素早い動きの突然の出現に右往左往することになるのだから。こうなるとこれは立派なホラーである。でもこの顛末。初代ウルトラマンのドラマもよくよく考えれば同じなのでは。ビジネスホテルスタッフが科特隊なだけで。笑。

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