2024年11月14日木曜日

ゴジラ1954

ゴジラの吐いたそれは建物の上に粉雪のようにそっとふりかかる。そう霧のようにゆっくり降り積もる感じだ。けれど少し間をおいてカッと燃え上がる。911フクシマ冷却水が干上がった際の燃料プールの燃料棒。その崩壊熱の凄さを実感させる。同時にあの感じは怪奇大作戦呪いの壺のリュート物質での本堂炎上そのものでもある。いかにも放射性物質事象という感じがして。とっても怖い。

2024年11月9日土曜日

サイコ2前作から二十年以上の続編1983年製作

中盤。人間というよりもはや建物が主役。20年の薄汚れた劣化が効果を深めている。それらがしっかりと再利用されレベッカなどのようなゴシックロマンス映画それもメタにリアルなものとしてもはや立派に成立している。逆に内容こんなロマンチックな感じは前作には微塵もなく面喰らうくらい新鮮。それどころかモーテルと母屋が繋がっているような錯覚さえあって空間がねじれたポストモダンsfのようでもある。いやもしかしたら母屋の覗き穴はデジタルディスプレイでモーテルの監視カメラ映像がそこから見えていたりするのか。これなんぞ80年代スパイ映画っぽくもあり更に新鮮。これに先立つ今作前半ノーマンの出所受刑者のようなズタボロ感だが。男臭く土埃立ちそうなアメリカンロードムービーしててそこがしっかり前作の前半とシンクロし同じくハードにフィルムノワールしてて良かった。問題は後半だ。前作はノーマン単独のシンプルなサイキックホラーだったが今作はエイリアン2の如く今度は戦争だと言わんばかりの誰もがサイコパスってか状態で。超能力者バトルロイヤルならぬサイコパスたちによるサイキックバトルロイヤルのカオスと化している。精神科医なんかキャリーばりの念動力で念入りに何度もころされるし。ラストでは中盤ロマンスした相手メアリーの死の復讐も果たし全てに勝利するノーマン。モーテルの看板に灯を入れ。母の為の母屋の暖房にも石炭をくべ。実母の影を映す窓の母屋を背にモーテルへと向かう宗教儀式めいたシルエット。そうもはや純愛一直線生涯素人童貞貫くフランケンシュタイン系不死身ゴシックモンスター。サイコキラーハンターな治療者や模倣犯なんか寄せ付けもしない近代的価値観がナンボのもんじゃいな筋金入り完全無欠の大元祖サイコパスマシーンノーマンベイツってば素直に無茶苦茶カッコ良い。完全にマーベルコミックのダークヒーロー。聖なる邪神の剣の特注キッチンナイフを手にディズニーホーンテッドマンション仕様の空飛ぶモーテルそのコックピットに乗り込んでアベンジャーズ入りだ。料理の腕もあげサンドイッチも前作より美味しそう。

2024年11月6日水曜日

シャイニング1980年製作の映画

メチャクチャ広い空間なんだけど閉じ込められるような感じは時間にまで影響しタイム無限ループな感じになる。そして退屈から徐々に見ているこちらまでもが狂っていきそう。外部ではなく内部すべてが敵に見えるように仕組まれる。このタイプの恐怖は言ってしまえば管理社会ディストピアと同質の物と言える。時計じかけや2001年などにも存在したテイストだ。つまり何物かに呪われているとか支配されているような感じ。墓地に建てられた山小屋。インディアンの呪い。どこか現状の今の日本やアメリカを思わせられる。一世代どころか輪廻転生末代までナニかに管理されていきそうな終末感閉塞感なところが2001年宇宙の旅っぽい。

2024年11月3日日曜日

フランケンシュタインの花嫁1935年ユニバーサル製作アメリカ映画

盲老人との別れからのアメリカンロードムービーな旅路。その果てでのたどりついた古代遺跡のような共同墳墓。地下埋葬施設の死体との遭遇シーンは最高にゴシックしててうつくしくよかった。その直後に登場の詐欺師のような新博士。彼がメフィストなら旧博士はファウストで。怪物にとっては確執いろいろあったがやはり旧博士こそがいとしかったのであろう。結構かんがえさせられるふかくヒューマンなラストにおもわず感涙。怪物の人間的成長がすばらしく。前作が生粋のホラーなら今作。当初自分パロディコメディっぽくかんじてしまったのがはずかしいくらいじつに商業監督をこえた孤高のこの名監督の魂がこもった芸術的感動名作だった。

2024年11月1日金曜日

フランケンシュタイン1931米ユニバーサル映画

市長と男爵の関係に地方なんだけど産学一体大学学園都市として発展した村の複雑な代々人間関係や抑圧的な権力関係が反映しているようで変に今風で良い。ある意味郊外ディストピアものである。美術セットもそれに合わせてドラキュラ城が古い因襲の残る自然深いゴシックな感じの古城なのに対してこのフランケンシュタインの実験塔は要塞か工場か刑務所のようで周囲の山も公害で荒れ果てたかのような奇岩だらけで無機的でさえある。現代の遺伝子工学やコンピューターサイエンスや原子力で発展の地方工場城下町に逃げ込んだ逃亡殺人犯の追跡サスペンスとかにも応用出来そうだ。そう。地方都市の出来の良いオボッチャマオタクがターミネーターな殺人マシーンを創造してしまったのだ。やばいことにかわりはない。以下ちょいネタバレ。勧善懲悪西部劇のようにマジにつくられた軽薄ハッピーエンドだとしてもホラーとして今みるとどうしても被抑圧民群衆ヒステリーとか地方腐敗政治とかが透けて皮肉で曖昧で不条理作品にみえよけいこわい。