2016年9月30日金曜日

『ウルトラファイト』「怪獣残酷物語」

ゴミや水死体ばかり流れ着く、此の世の果ての幾つかの、その一つの吹き溜まりのような、岩場の打ち捨てられた入江、ここは宇宙の果てでも在るのか、二体共に宇宙怪獣で、繰り返される悲しき咆哮なのか霧笛なのか、ブラッドベリの名作さえ喚起させられたり、怪獣の実存の奥深さに思いを馳せさせられたり、突然の断末魔の叫びと、流れ着いたゴミなのか、朽ち果てた流木なのか、二つの墓標の瞬殺名ショットには、ウルトラファイト、その悲しき本質までも見せ付けられたようで、実際には聴こえもしない、後に残る海鳴りが、遠く無常感を盛り上げつつ、いつまでも脳内にリピートし続けている、その一大事な感じは、昼下がり、不意の12チャンネル、二時間の吹き替えパゾリーニ映画を一気に初見させられた時のような、凄い余韻。

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