2019年12月6日金曜日
土門刑事の妻
発端はよくあるトップ屋絞殺殺人。二週連続前後編。土門刑事編である。亡き前妻がからみ死んだとおもわれていた旧友が生きていた。京都の古寺を舞台に幻の亡き妻と旧友の亡霊をおうマサに第三の男のような渋いエピソード。もしくは怪奇大作戦の京都買います。20世紀末の荒れた世相ノストラダムス学生サークルの集団自殺事件。マサに廃墟のウィーンのように描かれる1999年の京都が重ね重ね渋い。そして現在。警察上層部の隠蔽。背後にある巨悪を捜査からはずれ男として刑事生命をかけ孤独に追い詰める土門。いつになくマリコが切ないオンナをかんじさせてくれるような演技もあって実によい。前回のホステスマリコの真逆。さて後編へだが。大恋愛編としてマリコは追いすがる女になるのか菩薩のような巨大なチカラをみせるのかやはりロボな鉄の女のままなのか。目がはなせない。クリスマスがらみ。ふたりの切ないラストクリスマスになるのか。それとも。
2019年11月30日土曜日
ミステリーの達人 ドクターKの失敗
冒頭。子供の秘密基地でもありそうなクサッパラ。紙芝居のような演出。聖地巡礼なるオタク用語がネックの話だったが捜索対象をオタクどころか文盲の元受刑者へと松本清張ばりのスケールに純化。そのせいでオタク用語の聖地巡礼がまさに四国巡礼か聖フランシスコの巡礼ばりに深く重く。京都界隈のたった一日の巡礼エリアだったがスケアクロウなアメリカンロードムービーのような抒情さえたたえてナイス。そのスケール感はまさに砂の器といったところ。劇中劇に少年探偵団風がからんだこともありキーパーソンの小説家がまるで怪人二十面相のようにも。乱歩と清張の世界がジュブナイルファンタジーの手法によって見事に融合。名演。名作。特筆はマリコがまるで少年探偵団の少女メンバーのようにキュートで健気な活躍っぷりだったこと。あと蒲原のわんぱくさも探偵団しててよかった。そういう意味でもファンタジー回。先週の鉄オタといい二週つづいてオタクが被害者のエピソードだったが二作ともおもいっきり全年代オタク擁護の感動作に仕上がっていてこんなリアルタイムな御涙頂戴は好感。
2019年11月10日日曜日
吸血地獄
本作ニーナを完全主人公の物語としてみなおすととんでもないものがみえてくる。主人公役が外人俳優で。こちらからの感情移入がしにくくなるようにわざわざとしてある。という観点から。まるで人形浄瑠璃の心中モノや歌舞伎の四谷怪談そんな中世不思議グランギニョル人形音楽劇な人工様式美の色彩を帯びてくる。といおうとおもえばいえるからだ。ドラッグ地獄に堕ちていくグラサンロッカーな飼い主を必死で守る背後霊守護神ペットの物語とでもさえいおうか。そうハチ公忠犬物語のようでさえもある。ラスト。崖の上での。周作の手首から血をすうニーナ。あまりにも哀れ。というより。あれは健気の姿なのではないだろうか。主人公の傷を舐めるセラピードッグのような。そんな風にみえてきはしないだろうか。それを突き落とすようにして自らも身をなげる周作。そんな愚かな周作さえ赦すニーナ。そう本作はあのフェリーニの道なのだ。ニーナの顔が元にもどるのは周作への憐れみ。あれはもはやニーナは菩薩となったアカシ。ニーナはジェルソミーナ。映画浮雲。森の妖精の化身がベトナムから日本についてきて戦争に心身傷ついた男たちに尽くし尽くしきったように。本作はポーランドからついてきた少女吸血鬼の無垢。イノセントを描ききっている。死んでも死ねずどこまでも周作のあとをけなげに付き添ったニーナ。周作の名を呼ぶニーナの声が耳からはなれない。
2019年11月8日金曜日
育てよ!カメ
見事な下水道映画である。虚言癖の少年がギャングに誘拐され下水道のアジトに連れ去られる。持っていた亀が巨大化。逃げ出すギャング。好立地とばかりに少年は下水道の秘密基地での。現実から逃避した夢と幻想まみれの亀との暮らし。を始める。そんなある日。亀によってさらに地下の下水の大洋へと少年は導かれる。そこにはマンホールチルドレンのようにして暮らしていたのか。先の戦争犠牲者の少女の幽霊が竜宮城の乙姫としてムー帝国のマンダを従え君臨していた。少年は戦争犠牲者のような汚濁の姿に変えられてしまう。しかしそれは少年の下水の汚水に溺れた際の悪夢だった。無事少年は帰還。しかし下水道に繁殖したその不思議なトリップ作用を持つ下水亀は子供達に大流行。高度成長を虚言癖に。忘れ去られた戦争を隠された下水道に。なぞらえ高度成長を痛烈批判。
2019年10月8日火曜日
どぶ
ツルちゃん。このキャラクターはもったいない。はやすぎたバットマンのジョーカーなのか。裸の大将系アンチヒーローダークヒーロー風味のバリアフリージェンダーフリーヒーローとしてシリーズ化してほしかった。ころさないでほしかった。毎回ふらりと全国津々浦々のスラムにあらわれては働かない男たちに一旦は金蔓にされかかるが健気に街娼業にはげみ男たちを支え励ます。働く事の尊さ。働くとは何かを問い掛け遂にはスラム全体を健全へと覚醒させる。一種の革命家でもある。ツルちゃん。普段は化粧をしていないが街娼の時は変身ヒーローとしておかめメイクになる。業務は一切描写しない。かえりに歌う仕事のうたがツルちゃんの一番輝く時だ。クライマックスは地元のヤクザたちやパンパンたちとの反感を買ってのお決まりのアクション。結局風のようにスラムをさる。まさにヒーローである。新東宝系。まぼろし探偵やスーパージャイアンツ。ダークヒーローの宝庫であった。
製作年 1954年
製作国 日本
配給 新東宝
上映時間 111分
スタッフ
監督 新藤兼人
製作 吉村公三郎
脚本 新藤兼人、棚田吾郎
撮影 伊藤武夫
音楽 伊福部昭
美術 丸茂孝
録音 長岡憲治
照明 田畑正一
協力 山田典吾、絲屋寿雄、能登節雄
キャスト
ツル 乙羽信子
ピンちゃん 宇野重吉
徳さん 殿山泰司
ほか
製作年 1954年
製作国 日本
配給 新東宝
上映時間 111分
スタッフ
監督 新藤兼人
製作 吉村公三郎
脚本 新藤兼人、棚田吾郎
撮影 伊藤武夫
音楽 伊福部昭
美術 丸茂孝
録音 長岡憲治
照明 田畑正一
協力 山田典吾、絲屋寿雄、能登節雄
キャスト
ツル 乙羽信子
ピンちゃん 宇野重吉
徳さん 殿山泰司
ほか
2019年9月30日月曜日
ドラマ阿刀田高サスペンス趣味を持つ女
ゾクッとするような長身喪服の女。無機的で体温のひくそうな美人である。郊外海辺のマンションの廊下のつきあたりの一番奥フローリングの何もない殺風景なその部屋ではあかずの巨大冷蔵庫が異様な存在感をはなってうなりをあげている。その実写版ブキミ鉄人28号かナチスがらみの東宝フランケンシュタインの心臓かもしくはうしなわれたアークかのような巨大冷蔵庫をいとしそうにだきしめる巨女。屈折しまくった暗黒の母性さえかんずる。女にはいいよるストーカーのような男がつきまとっていて女の次の餌食となりそう。女はみずからを独占欲のつよい女とかいってるし。歳をとればとるほどそれはつのるともいってる。巨大冷蔵庫の中には一体何がはいっているのだろう。一体何がはいるのだろう。異常な男女関係の連鎖に腐臭と妖気がただよう。阿刀田高の極私的二大傑作短編ホラー小説そのうちのひとつのドラマ化である。もうひとつもやはり冷蔵庫ネタでこちらもドラマ化されているのでそれもまた近々かたろう。リアルタイムでみてずっと記憶にひっかかりつづけの本作。その主題歌の記憶ともあいまってバブル残照な気だるい時代のあの雰囲気が横溢していたと記憶する。クールさも過剰ならもれでるそこはかとないグロサとエゲツナサもわすれられない。
2019年9月6日金曜日
風丘早月のメッセージ
マリコという人間は骨の髄まで科学捜査官化しており生身の目の前での出来事より熱感知カメラごしの姿とかレーザーマイクごしの声や音の方をリアルにかんじる。前回がマリコを我々からみて。の。ホラーだったとしたら。今回はマリコにとってのホラーとは何かをみせきる。風丘が目の前でころされるより機器ごしでこそがホラーなのである。以下ネタバレ。とにかく今回は誰も死人がでなかったその割にはどっとつかれるヘビーさ。それは奥ふかいところで風丘主人公の法医学ドラマにしっかりとなっていたからだし。なによりも背景にあるのが仮想通貨などという得体のしれない世界のひろがりだったからだ。
登録:
投稿 (Atom)