2018年10月20日土曜日

殺人音楽隊

犯人が死体をせおい山をのぼり渓谷から無慈悲に谷底へとなげすてる。この感覚がすきだ。たとえば。すると死体は下流へとはこばれそこで発見される。捜査は上流へとおよび谷底の不気味な村へとおよぶ。そんなふうにもなれるからだ。ところで今回もおもしろかった。なぜなら表面的には音楽ものにおもわれるが。じつは。定番の山岳殺人もの。だからだ。山には大学のワンゲル部の出先部室とか今回のように音の問題で街中では不都合な音楽部の練習室および楽器倉庫などがある場合がおおい。ほかには山中湖畔の音楽スタジオなど。はたまたアダルトビデオの屋外撮影隊とか。ここをじつにうまくついている。だから山岳殺人ものだといっているのだ。人里はなれた施設内でのこじれた人間関係からの殺人風景。その寂寥感がかなしい。アダムとイブから。えんえんつらなる。悠久の。ふかい。人間の原罪がみえかくれする。

2018年10月18日木曜日

扉の先

逆プラシーボ効果といったところだろうか。オチはみえみえなのできらくにかかせていただくこととしよう。薬も先入観で毒とかわる。そう。ただの移送を執行とかんちがいして発作でしんでしまう死刑囚たちの悲喜劇。たしかに単純なプロットではある。でも。それはそれとして。個人的に主人公役の役者なのだがアウトレイジの印象がつよすぎて本作もアウトレイジシリーズそのスピンオフとかにみえてしまう筆者。笑。死刑執行人役の温水洋一氏もとても不気味ないいかんじ。とにかく本作。個人的になんといってもすばらしいところは世にも奇妙な物語ならではのスタジオセットおよび美術につきる。どことなくヒョウキン族のセットにもつうじる演歌の花道チックな独特のやすっぽさ。わざとらしさ。ホラーというより志村けんのだいじょうぶだぁなコントを連想してしまう。だいじょうぶだぁ。先日もやっていたがとにかくセットがいい。つづいてほしい。だからこそよけいにシュールがかんじられ頭がよい意味で混乱しプチトリップさせてもらえるらしい。しかしそれよりなにより本作。ひさしぶりの個人的ライフワークジャンル。下水道映画の存在をおもいおこさせてくれたことに感謝。舞台設定まるで拘置所刑務所にはみえない。不思議な近未来強制労働水道施設のよう。だからこそよけいに屋内シーンのすべてが上記したセットの魅力のおかげもあって。とにかく不気味な下水道にしかみえない。そう彼ら坑内作業者っぽい。そこのところがホントすばらしい。ライフルをもった看守といい近未来ディストピアsfなかんじにあふれている。

2018年10月16日火曜日

留守番電話

女優の旧式のアンドロイドっぽさと留守番電話というやはり旧式のガジェットのとりあわせがマッチしていて妙なサイバーパンク感がある。とくにガード下の殺害やら公衆電話ボックスのきたなさがそれをあおっている。なにせ声を自由に何とおりにもかえられるなんてアンドロイドにきまっている。多重人格のサイコ女による自作自演それにひっかかった男の不幸なる。定番と解釈されている本作だがネタバレされてしまうとこのようにそういうとらえ方だけではおもしろさが半減してしまうようだ。なのでそっくりのアンドロイドとしてその後の展開を想像してたのしもう。ターミネーターのように。10分にもみたない超短編だからこそのたのしみ方だし普遍性ではないだろうか。

2018年10月13日土曜日

眠狂四郎 人肌蜘蛛

烏だらけの不気味な森をぬけ母の墓まいりにと寒村をおとずれる狂四郎。墓守の老人はかたる。里はあれはて民は奴隷化したと。その領主の居城。まさに硫黄谷の底ふかく崖にはりつくドラキュラ城かアッシャー家というおもむき。すむのは近親相姦めいた兄妹。兄はちょっとマッドサイエンティストな狂気の毒物マニア。界隈は毒か硫黄泉に汚染され。そのせいか気の毒にも妹のほうは血をみないと頭痛がするという謎の業病をやんでいる。まるでフランケンシュタインとあわれな女吸血鬼コンビである。ここまで脇が強烈だともはや主役はくわれ単独作番外編のおもむき。独立した時代吸血鬼ものとしてたのしめる。かなしい兄と妹の悲恋心中物語としてもかなり重厚だ。狂四郎は三角関係エロ相手役の狂言まわしへとよい意味でなりさがっている。本来のダークヒーロー大活躍な時代劇。本作に期待しないほうがよい。あくまでも怪奇映画としてたのしんだほうがよい。けれどただの怪奇でおわらないところが本作の。本シリーズの。市川雷蔵のすごさである。強烈なニヒリズムがすべてをのみこみ後味のわるさをすべてラスト一瞬のクールネスでふきとばす。ネタバレになるので一言。江戸からの隠密が鍵。

2018年10月9日火曜日

輪廻の村

30分にもみたないが起伏にとむスペクタクルな脚本は。まるでダイジェスト。逆に急展開ぶりが。スリリングかつシュール。なにげに主人公が絶叫美人風で大根なのも。b級ホラー的ポイントたかし。ところで本作なにより感心したのは村人の数のすくなさ。前世の復讐をちかった者が都会からひきつけられるようにまるですこしづつ飯場のようなこの村にあつまってきたのであろうことがしのばれる。その設定が実によい。輪廻の村というより殺人者の村のタイトルがにあいそうなほどにハードボイルド。すべてはあのあれはてるにまかせた墓地だけからはじまったのだ。墓石もなくまるで工事現場か造成地。そのなげやりなそのかわききった荒涼さが実に心地よい。そのおかげでしめった横溝くささがまるでなく。ゾンビ村やドラキュラ村のような風情に。

2018年10月6日土曜日

マタンゴ

欲求充足型社会か不安除去型社会か。目のない海亀の標本をみつけるシーンがある。方向感覚機能を喪失し本能がこわれた状態の。それは核実験の放射能の影響のサンプルだった。どっちが先なのか元なのかはよくわからないのだが。あの世界残酷物語。それに登場し卵をうんだ後。海へとかえれず陸側へ陸側へとさかのぼり太陽の熱で乾燥死してしまうあの海亀。あれと非常に酷似しているようで気色わるくも印象的。だから。海鳥さえさけてしまうようなこの島。なのに。このそんな奇形海亀だけは上陸そして産卵している。その不気味さ。更にそんな海亀の汚染卵を平気で食し。それどころか高額で取引までしてしまう船員くずれ。船員のこの生へのリアルへの執着の描写はすごい。そしてそのリアルな船員くずれと女をうばいあう事になるのが。ドリーミーな流行推理作家。このチーマーとオタクのような対立の図式。それはそのままベトナム志願兵かヒッピーか。更には核戦争派かドラッグ宗教派か。今でいえば。リア充かネトゲ廃人か。311をふまえると。原発ジプシーかラノベ作家か。そのどちらに人類の将来をみるかにつながっていそう。結果として。船員はいちはやく銃弾にたおれ。作家はやはりいちはやくマタンゴの虜に。いかにも象徴的かつ対照的な誰よりもはやい二人の最期だった。しかしそれよりも何よりも誰よりも。唯一の生存者かたり手である新進気鋭の若手イケメン心理学教授。彼のラストでのあの顔。放射能の影響なのかマタンゴ胞子の影響なのか。が一番こわい。現代人の内面の真の姿をつきつけてくる。本作。東宝変身人間シリーズ番外編とされているが。むしろ。日本沈没ノストラダムスの大予言そんな東宝トンデモ絶望sfハチャメチャ終末パニックサバイバル路線。その大元祖大原点。

2018年10月4日木曜日

クモ男爵

蜘蛛にかまれた娘は気がふれてしまい森の奥ふかくおどりながらまよいこみ底なし沼にはまってしんでしまった。やがて娘はよみがえると沼からはいあがるも既にその姿はおそろしい蜘蛛へと変化していた。かなしみのあまり気がふれた父親は蜘蛛の娘とくらすうちに。みずからもすこしづつ蜘蛛へと変化していったのではないだろうか。沼は超自然的な能力をゆうする。魔としてえがかれているのではないだろうか。その霧の成分が人をして狂気たらしめ死者をして蜘蛛に変化せしめる。以上をしっかりふまえると。本作。登場人物達のその後がひどく気にかかる。たしかに蜘蛛は退治され無事にげのびたにはにげのびた。でも沼におちた二人にはしっかりと沼の毒がすくなからず影響していたそれをわすれてはならない。一人は熱にうかされ。もう一人は意識なくオカリナをふきつづけた。そうではなかったか。ここには。さいわい一時的ではあったが。沼の。人を狂人たらしめる能力がしっかりとあらわれていたといわざるをえない。それだけではない。蜘蛛にかまれたとも推察できる詩人。彼のその後となるともっと気にかかる。彼は後に蜘蛛へと変化したのではないだろうか。もしかしたら灯台で所員をおそった蜘蛛は彼なのではないだろうか。冒頭だけ現在事象で。タイトルあけからはその蜘蛛になった彼が。蜘蛛の脳で。今の蜘蛛の身の上をうれい。きっかけとなった過去の事件を回想したそういう描写だったのではないだろうか。もしそうだとするとこれはこわい。